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第9章 (ロマ書}

 第三項 キリストに由る義に對するユデア人の位地。
  第一款 イスラエル人排斥せられしも、神の約束は誠實にして其處置は正義完全なり。

1 我われはキリスト[の御み前まへ]に眞まことを言いひて僞いつはらず、我わが良りゃう心しん聖せい靈れいと一いっ致ちして我われに證しょう明めいす。 2 我われに大おほいなる憂うれひあり、我わが心こころに間たえ斷まなき苦く痛つうあり。 3 即すなはち我わが兄きゃう弟だい等たちの爲ためには、我われ殆ほとんどど自みづからキリストに棄すてられん事ことをすら望のぞまんとす。彼かれ等らは肉にく身しん上じゃうの我わが親しん族ぞくなり、 4 イスラエル人じんなり、神かみの子ことせらるる事ことと、光くわう榮えいと諸しょ契けい約やくと律りっ法ぱふと拜はい禮れいと約やく束そくとは彼かれ等らのものなり。 5 祖そ先せん等たちは彼かれ等らのもの、キリストも肉にく身しん上じゃうよりすれば彼かれ等らより出いで給たまひしなり。即すなはち萬ばん物ぶつの上うへに世々よよ祝しゅくせられ給たまふ神かみにて在まします、アメン。
6 然されど神かみの御おん言ことばは廢すたれりと云いふには非あらず、蓋けだしイスラエルより出いでし人ひと皆みなイスラエル人じんたるに非あらず、 7 又またアブラハムの裔すゑたる人ひと皆みな子こたるに非あらず、但ただ「イザアクより出いづる者ものは汝なんぢの裔すゑと呼よばれん」とあり。 8 即すなはち肉にくの子こたる人々ひとびとが神かみの子こたるに非あらずして、約やく束そくの子こたる人々ひとびとこそ其その裔すゑとせらるるなれ。 9 蓋けだし約やく束そくの言ことばは、「此この時とき至いたらば我われ來きたらん、而しかして[妻]サラには一いっ子しあるべし」と是これなり。 10 加之しかのみならずレベッカも亦また一人ひとりの我わが先せん祖ぞイザアクによりて[双ふた兒ごを]懷くわい胎たいせしに、 11 未いまだ生うまれず又また何なん等らの善よし惡あしを爲なさざる中うちに、神かみの規き定ていは選せん拔ばつに從したがひて存そんする爲ために、 12 行おこなひによらず召めしによりて「兄あには弟をととに事つかへん」と云いはれたり。 13 録かきしるして「我われイザアクを愛あいしエザウを憎にくめり」とあるが如ごとし。
14 然されば我われ等ら何なにをか云いふべき、神かみに於おいて不ふ義ぎありや、然しからず、 15 其そはモイゼに曰いはく「我わが敢あへて憫あはれまん人ひとを憫あはれみ、敢あへて慈じ悲ひを施ほどこさん人ひとに慈じ悲ひを施ほどこさん」と。 16 然されば欲ほっする人ひとにも走はしる人ひとにも由よらずして、憫あはれみ給たまふ神かみに由よるなり。 17 蓋けだし聖せい書しょファラオンに曰いへらく「我わが汝なんぢを立たてしは、殊ことに汝なんぢに於おいて我わが權けん能のうを顕あらはし、我わが名なを全ぜん世せ界かいに傳つたへられん爲ためなり」と。 18 然されば神かみは思おぼし召めしの人ひとを憫あはれみ、思おぼし召めしの人ひとを固かたくし給たまふなり。 19 是これによりて汝なんぢ或あるひは言いはん、然さらば何なんぞ尚なほ咎とがめ給たまふや、誰たれか其その思おぼし召めしに抵てい抗かうせん、と。 20 嗟ああ人ひとよ、汝なんぢは誰たれなれば神かみに言いひ逆さからふぞ。 土ど器きは己おのれを造つくりたる人ひとに向むかひて、何なに故ゆゑに我われを斯かく造つくりしぞと言いふか。 21 陶師やきものしは同おなじ塊つちくれを以もって、一ひとつの器うつはを貴たふとき用ようの爲ため、一ひとつの器うつはを賤いやしき用ようの爲ために造つくるの權けんあるに非あらずや。 22 神かみもし怒いかりを顕あらはし給たまひ、己おのが權けん能のうを知しらしめんとして、亡ほろぶべく備そなはりたる器うつはを大おほいなる忍にん耐たいを以もって忍しのび給たまひしに、 23 光くわう榮えいあるべく豫よ備びし給たまひし恤あはれみの器うつはに對たいして、己おのが光くわう榮えいの豐ゆたかなるを示しめさんとし給たまはば如何いかん、 24 恤あはれみの器うつはとして啻ただにユデア人じんの中うちより耳のみならず、異い邦はう人じんの中うちより我われ等らを召めし給たまひしなり。 25 是これオゼア書しょに、「我われわが民たみたらざりし者ものを我わが民たみと呼よび、愛あいせられざりし者ものを愛あいせらるる者ものと(呼よび、恤あはれみを得えざりし者ものを恤あはれみを得うる者ものと)呼よばん、」 26 又また「彼かれ等ら旣すでに、汝なんぢ等らは我わが民たみに非あらず、と謂いはれし其その處ところに於おいて、活いける神かみの子こ等どもと稱となへらるることあらん」と曰のたまひしが如ごとし。 27 イザヤもイスラエルに就つきて呼よはりけるは、「イスラエルの子こ等らの數かず、海うみの砂すなの如ごとくなるも、殘のこる者もののみ救すくはれん。 28 蓋けだし主しゅは御おん言ことばを速すみやかに地ち上じゃうに行おこなひ給たまふべければ、義ぎを以もって之これを速すみやかに全まったうし給たまふべし」と。 29 又またイザヤが預よ言げんして、「萬ばん軍ぐんの主しゅ若もし我われ等らに種たねを遺のこし給たまはざりせば、我われ等らはソドマの如ごとく成なり、ゴモラに似にたるものと成なりしならん」、と云いひしが如ごとし。

  第二款 イスラエル人の排斥せらるるは其過に由れり。

30 然しからば我われ等ら何なにをか言いふべき。義ぎを追つゐ求きうせざりし異い邦はう人じん等らは義ぎを執とらへたり、但ただ是こは信しん仰かうに由よれる義ぎなり。 31 却かへってイスラエルは義ぎの法のりを追つゐ求きうしつつも、義ぎの法のりに至いたらざりき。 32 是これ何なんの故ゆゑぞ、彼かれ等らは信しん仰かうに由よらずして業げふに由よるが如ごとくにしたればなり。即すなはち躓つまづく石いしに突つき當あたれるなり、 33 録かきしるして、「看みよ、我われシオンに於おいて躓つまづく石いし、突つき當あたる岩いはを置おく、誰たれにもあれ之これを信しんずる人ひとは、辱はづかしめらるる者ものなからん」と、あるが如ごとし。