26_02

第12章 (ルカ福音)

1 民たみ數す萬まん集あつまりて、相あひ蹂ふむに至いたれる時とき、彼かれ先まづ其その門もん徒とに謂いへり、謹つつしみてファリセイ等らの酵ぱんだねを防ふせげ、是これ僞ぎ善ぜんなり。 2 覆おほはれて露あらはれざる者ものなく、隱かくれて知しられざる者ものなし。 3 故ゆゑに爾なんぢ等らが暗くらやみの中うちに言いひし事ことは、光ひかりの中うちに聞きえん、密ひそかなる室しつに於おいて耳みみに附つきて語かたりし事ことは、屋やの上うへに傳つたへられん。 4 我われ爾なんぢ等ら我わが友ともに言いふ、身みを殺ころして後のちに何なに事ごとをも爲なす能あたはざる者ものを懼おそるる勿なかれ。 5 我われ爾なんぢ等らに誰たれをか懼おそるべきを示しめさん、卽すなはち殺ころして後のちに地獄ゲエンナに投とうずる權けんを有たもつ者ものを懼おそれよ、然しかり、我われ爾なんぢ等らに語つぐ、斯この者ものを懼おそれよ。 6 五いつつの雀すずめは二に錢せんにて售うらるるに非あらずや、然しかるに其その一ひとつも神かみの前まへに忘わすれられず。 7 爾なんぢ等らに於おいては首かうべの髪けも皆みな數かぞへられたり。故ゆゑに懼おそるる勿なかれ、爾なんぢ等らは多おほくの雀すずめより貴たっとし。 8 我われ又また爾なんぢ等らに語つぐ、凡およそ我われを人ひとの前まへに認みとめん者ものは、人ひとの子こも彼かれを神かみの使つかひ等らの前まへに認みとめん。 9 我われを人ひとの前まへに諱いまん者ものは、神かみの使つかひ等らの前まへに諱いまれん。 10 凡およそ人ひとの子こに敵てきして言ことばを出いだす者ものは赦ゆるされん、然しかれども聖せい神しん゜を瀆けがす者ものは赦ゆるされざらん。 11 爾なんぢ等らを曳ひきて、會くわい堂だう、又または政まつりごとを執とり權けんを有たもつ者ものの前まへに至いたらん時とき如何いかに、或あるひは何なにを答こたふべく、或あるひは何なにを言いふべきを慮おもんぱかる勿なかれ。 12 蓋けだし其その時とき聖せい神しん゜爾なんぢ等らに言いふべきことを教をしへん。 13 民たみの中うちの一人ひとり彼かれに謂いへり、師しよ、我わが兄けい弟ていに我われと遺ゐ產さんを分わかつことを命めいぜよ。 14 彼かれは之これに謂いへり、人ひとよ、誰たれか我われを立たてて、爾なんぢ等らの裁判さいばん官くわん或あるひは分ぶん配ぱい者しゃと爲なしたる。 15 是ここに於おいて彼かれ等らに謂いへり、愼つつしみて貪むさぼりを防ふせげ、蓋けだし人ひとの生命いのちは其その所しょ有いうの饒ゆたかなるに因よらざるなり。 16 又また譬たとへを設まうけて彼かれ等らに謂いへり、或あるひ富とめる人ひとに田た畆はたの善よく實みのれるあり、 17 彼かれ自みづから忖はかりて曰いへり、我われ何なにを爲なさんか、蓋けだし我わが作さく物もつを藏をさむべき處ところなし。 18 又また曰いへり、我われ斯かく爲なさん、我わが倉くらを毀こぼちて、更さらに大おほいなる者ものを建たて、此この中うちに我わが悉ことごとくの穀こく物もつと貨物たからとを聚あつめて、 19 我わが靈たましひに謂いはん、靈たましひよ、爾なんぢには多た年ねんの爲ために蓄たくはへたる多おほくの貨物たからあり、息やすみ、食くらひ、飮のみ、樂たのしめと。 20 然しかれども神かみは彼かれに謂いへり、無な知ちなる者ものよ、今こん夜や爾なんぢの靈たましひを爾なんぢより索もとめん、然しからば爾なんぢが備そなへし所ところの者ものは誰たれに歸きせんか。 21 凡およそ己おのれの爲ために財たからを積つみ、神かみに於おいて富とまざる者ものは是かくの如ごとし。 22 又また其その門もん徒とに謂いへり、故ゆゑに我われ爾なんぢ等らに語つぐ、爾なんぢの生命いのちの爲ために何なにを食くらひ、爾なんぢ等らの身體からだの爲ために何なにを衣きんと慮おもんぱかる勿なかれ。 23 生命いのちは糧かてより大おほいにして、身體からだは衣ころもより大おほいなり。 24 試こころみに鴉からすを思おもへ、彼かれ等らは稼まかず穡からず、倉くらもなく納な屋やもなし、而しかうして神かみは之これを養やしなふ、爾なんぢ等らは鳥とりより貴たっときこと幾何いくばくぞ。 25 且かつ爾なんぢ等らの中うち誰たれか慮おもんぱかりて、其その身みの長たけ一いっ尺しゃくだに延のぶるを得えん。 26 然しからば至いと小ちひさき事ことすら能よくせざるに、何なんぞ其その餘よの事ことを慮おもんぱかる。 27 試こころみに百合ゆりの如何いかにか長ちゃうずるを思おもへ、勞はたらかず紡つむがず、然しかれども我われ爾なんぢ等らに語つぐ、ソロモンも其その榮えい華ぐわの極きはみに於おいて、其その衣ころも猶なほ此この花はなの一ひとつに及およばざりき。 28 今こん日にち野のに在あり、明みゃう日にち爐ゐろりに投なげらるる草くさにも、神かみは斯かく衣きすれば、況いはんんや、爾なんぢ等らをや、小せう信しんの者ものよ。 29 故ゆゑに爾なんぢ等ら何なにを食くらひ、或あるひは何なにを飮のまんと求もとむる勿なかれ、亦また思おもひ煩わづらふ勿なかれ、 30 蓋けだし此これ皆みな世よの異い邦はう人じんの求もとむる所ところなり、爾なんぢ等らの父ちちは此これ等らの者ものの爾なんぢ等らに必要ひつえうなるを知しる。 31 惟ただ神かみの國くにを求もとめよ、然しからば此これ皆みな爾なんぢ等らに加かははらん。 32 小ちひさき群むれよ、懼おそるる勿なかれ、蓋けだし爾なんぢ等らの父ちちは爾なんぢ等らに國くにを賜たまはんことを喜よろこべり。 33 爾なんぢ等らの所しょ有いうを售うりて、施濟ほどこしを爲なせ、己おのれの爲ために古ふるびざる嚢ふくろ、盡つきざる財たからを天てんに備そなへよ、彼處かしこには盗賊ぬすびと近ちかづかず、蠹しみ壞そこなはず。 34 蓋けだし爾なんぢ等らの財たからの在ある所ところには、爾なんぢ等らの心こころも在あらん。 35 爾なんぢ等らの腰こしは帶おびせられ、爾なんぢ等らの燈ともしびは燃もゆべし。 36 爾なんぢ等らの其その主しゅが婚こん筵えんより歸かへるを俟まちて、彼かれ來きたりて門もんを叩たたく時とき、直ただちに彼かれの爲ために啓ひらかんとする人人ひとびとに似にるべし。 37 主しゅ來きたりて其その諸しょ僕ぼくの儆けい醒せいするを見みば、彼かれ等らは福さいはひなり、我われ誠まことに爾なんぢ等らに語つぐ、彼かれ自みづから腰こしに帶おびし、彼かれ等らを席せき坐ざせしめ、前すすみて彼かれ等らに供きょう事じせん。 38 若もし第だい二に更かうに來きたり、又また第だい三さん更かうに來きたりて、彼かれ等らの是かくの如ごときを見みば、其その諸しょ僕ぼく福さいはひなり。 39 若もし家か主しゅ盗賊ぬすびとの何いづれの時ときに來きたるを知しらば、儆けい醒せいして、其その家いへを穿うがつを許ゆるさざらん、是これ爾なんぢ等らの知しる所ところなり。 40 故ゆゑに爾なんぢ等らも己おのれを備そなへよ、蓋けだし爾なんぢ等らが意おもはざる時ときに人ひとの子こ來きたらん。 41 ペトル彼かれに謂いへり、主しゅよ、此この譬たとへは我われ等らに言いふか、抑そもそも衆しゅう人じんに言いふか。 42 主しゅ曰いへり、孰たれか忠ちゅうにして智ちなる家いへ宰づかさ、其その主しゅが諸しょ僕ぼくの上うへに立たてて、時ときに隨したがひて、彼かれ等らに定てい量りゃうの糧かてを與あたへしむる者ものたる、 43 主しゅの來きたる時とき、彼かれが斯かく行おこなふを見みば、其その僕ぼく福さいはひなり。 44 我われ誠まことに爾なんぢ等らに語つぐ、彼かれを立たてて、其その一切いっさいの所しょ有いうを督つかさどらしめん。 45 然しかれども若もし其その僕ぼく心こころの中うちに、我わが主しゅの來きたるは遅おそからんと曰いひて、僕ぼく婢びを打うち、食くらひ飮のみ且かつ酔ゑへば、 46 乃すなはち俟またざる日ひ、知しらざる時ときに、其その僕ぼくの主しゅ來きたりて、彼かれを斷たち、彼かれを不ふ忠ちゅうの者ものと同おなじき分ぶんに處しょせん。 47 其その主しゅの旨むねを知しりて備そなへず、其その旨むねに順したがひて行おこなはざりし僕ぼくは、多おほく扑うたれん、 48 知しらずして罰ばつに當あたたる事ことを行おこなひし者ものは、少すくなく扑たたれん。凡およそ多おほく與あたへられし者ものは、多おほく促うながされん、多おほく託たくせられし者ものは、更さらに多おほく索もとめられん。 49 我われ火ひを地ちに投とうぜん爲ために來きたれり、此この火ひの已すでに燃もえんことを、我われ望のぞむこと幾何いくばくぞ。 50 我われに受うくべき洗禮せんれいあり、其その成なるに至いたるまで、我われ憂うれひに迫せまること如何いかばかりぞ。 51 爾なんぢ等らは我われ和わ平へいを地ちに與あたへん爲ために來きたれりと意おもふか、我われ爾なんぢ等らに謂いふ、然しからず、卽すなはち分ぶん離りなり。 52 蓋けだし是これより後のち、一いっ家かに五ご人にん分ぶん離りして、三さん人にんは二人ににん、二人ににんは三さん人にんに敵てきせん、 53 父ちちは子こに、子こは父ちちに敵てきし、母ははは女むすめに、女むすめは母ははに敵てきし、姑しうとめは其その婦よめに、婦よめは其その姑しうとめに敵てきせん。 54 又また民たみに謂いへり、爾なんぢ等ら雲くもの西にしより起おこるを見みれば、直ただちに言いふ、雨あめふらんと、果はたして然しかり。 55 風かぜの南みなみより吹ふくを見みれば、言いふ、暑あつくならんと、果はたして然しかり。 56 僞ぎ善ぜん者しゃよ、爾なんぢ等ら天てん地ちの面おもてを別わかつを知しりて、何なんぞ此この時ときを別わかたざる。 57 且かつ爾なんぢ等ら何なんぞ己おのれに依よりて、宜よろしき所ところを判はん斷だんせざる。 58 爾なんぢを訴うったふる者ものと偕ともに有司つかさに往ゆく時とき、途と中ちゅうに在ありて彼かれより釋ゆるしを得えんことを勉つとめよ、恐おそらくは彼かれ爾なんぢを曳ひきて、裁判さいばん官くわんに至いたり、裁判さいばん官くわん爾なんぢを下吏したやくに付わたし、下吏したやくは爾なんぢを獄ひとやに下くださん。 59 我われ爾なんぢに語つぐ、爾なんぢ毫がう釐りだに償つぐなはずば、彼かしこより出いづるを得えず。

No comments: