26_02

第19章 (聖使徒行実)

1 アポルロスのコリンフに居をる時とき、パワェル上じゃう地ちを經へて、エフェスに來きたり、或あるひ門もん徒と等らに遇あひて、 2 之これに謂いへり、爾なんぢ等らは信しんぜし後のち聖せい神しん゜を受うけしか。彼かれ等ら曰いへり、我われ等らは聖せい神しん゜の有あることだに聞きかざりき。 3 彼かれ曰いへり、然しからば爾なんぢ等ら何なにに因よりて洗せんを受うけしか。彼かれ等ら曰いへり、イオアンの洗禮せんれいに因よりてなり。 4 パワェル曰いへり、イオアンは悔くわい改かいの洗せんを授さづけて、人人ひとびとに彼かれに後のちれて來きたる者もの、卽すなはちハリストス イイススを信しんずべきことを言いへり。 5 彼かれ等ら之これを聞ききて、主しゅイイススの名なに因よりて洗せんを受うけたり。 6 パワェルが彼かれ等らに手てを按のするに及およびて、聖せい神しん゜彼かれ等らに降くだり、彼かれ等ら異い方はうの言ことばを言いひ、且かつ預よ言げんせり。 7 其その數かず約およそ十じふ二に人にんなりき。 8 パワェル會くわい堂だうに入いりて、毅き然ぜんとして言いひ、三さん月げつ間かん神かみの國くにの事ことを論ろんじ、且かつ勧すすめたり。 9 然しかれども或ある人人ひとびと剛愎かたくなにして信しんぜず、主しゅの道みちを民たみの前まへに詆そしりしに因よりて、彼かれは之これを離はなれ、門もん徒とを別わけて、日ひ々びティランと云いふ者ものの學がく校かうに弁べん論ろんせり。 10 是かくの如ごときこと二に年ねんにして、アシヤに居をる者もの、イウデヤ人じんエルリン人じんに論ろんなく、皆みな主しゅイイススの言ことばを聞きくに至いたれり。 11 神かみはパワェルの手てを以もって、希け有うの異い能のうを行おこなひ、 12 其その身みより手しゅ巾きん或あるひは襜衣まへだれを取とりて、病びょう者しゃに加くはふれば、病やまひ退しりぞき、惡あく鬼き出いづるに至いたれり。 13 イウデヤ人じんの中うちの巡めぐりて誓戒まじなひを爲なす或ある者ものも、惡あく鬼きに憑よらるる者ものに對たいして、主しゅイイススの名なを用もちゐる事ことと爲なれり、曰いはく、パワェルが傳つたふる所ところのイイススを以もって爾なんぢに誓ちかはしむと。 14 或あるイウデヤの司し祭さい長ちゃうスケワと云いふ者ものの七しち人にんの子こは是これを行おこなへり。 15 然しかれども惡あく鬼き答こたへて曰いへり、我われイイススを知しり、亦またパワェルを識しれり、惟ただ爾なんぢ等らは誰たれぞ。 16 乃すなはち惡あく鬼きに憑よらるる人ひと躍をどり攻せめて、之これに勝たち、之これを圧あっし、彼かれ等ら裸はだかにして、傷きずつけられて、其その家いへより逃にぐるに至いたれり。 17 是この事ことエフェスに居をる凡すべてのイウデヤ人じん及およびエルリン人じんに知しられたれば、彼かれ等ら皆みな懼おそを懷いだき、主しゅイイススの名なは崇あがめられたり。 18 信しんぜし者もの多おほく來きたりて、其その罪つみを認みとめ、行おこなひし事ことを訴うったへたり。 19 邪じゃ術じゅつを行おこなひし多おほくの者ものは、其その書しょを集あつめて、衆しゅう人じんの前まへに焚やけり、其その価あたひを合あはせて、銀ぎん五ご萬まんなるを知しれり。 20 主しゅの言ことばは盛さかんに長ちゃうじて、力ちからを獲えたること此かくの如ごとし。 21 此これ等らの事こと旣すでに成なりて、パワェルはマケドニヤ及およびアハイヤを經へて、イエルサリムに往ゆかんことを意こころに定さだめて曰いへり、我われ彼處かしこに往ゆきて後のち、ロマをも觀みるべし。 22 乃すなはち彼かれに事つかふる者ものの中うちティモフェイ及およびエラストの二に人にんをマケドニヤに遣つかはして、自みづから暫しばらくアシヤに留とどまれり。 23 其その時とき主しゅの道みちに對たいして騒さう動どう大おほいに起おこれり。 24 蓋けだし一ひとりの銀工ぎんざいくにん、名なはディミトリイ アルテミダの銀ぎんの龕づしを造つくりて、工人さいくにんに少すくなからざる業げふを得えしめし者ものは、 25 彼かれ等ら及および他たの同どう業げふの職しょく工こうを集あつめて曰いへり、友ともよ、我われ等らが此この業げふに賴よりて利りを獲えるは、爾なんぢ等らの知しる所ところなり、 26 亦また此このパワェルが、人ひとの手てにて作つくれる者ものは神かみに非あらずと言いひて、第ただエフェスのみならず、幾ほとんど全ぜんアシヤに於おいて、多おほくの民たみを勧すすめて、惑まどはししことは、爾なんぢ等らが見みる所ところ聞きく所ところなり。 27 是これ唯ただ我われ等らの業げふの輕かろんぜられん危あやうきあるのみならず、卽すなはち大おほいなる女にょ神しんアルテミダの殿でんも藐あなどにせられ、アシヤ及および全ぜん地ちの尊たふとむ者ものの威ゐ嚴げんは滅ほろぼされん。 28 彼かれ等ら此これを聞ききて、烈はげしく怒いかりて、呼よびて曰いへり、大おほいなる哉かなエフェス人じんのアルテミダよ。 29 邑まち擧こぞりて大おほいに騒さわぎ、パワェルの同どう行かう者しゃ、マケドニヤの人ひとガイ及およびアリスタルフを執とらへて、心こころを合あはせて劇げき場ぢゃうに擁おし入いれり。 30 パワェル民たみの中うちに入いらんと欲ほっせしに、門もん徒と之これを許ゆるさざりき。 31 又またアシヤの上じゃう官くわんの中うちに彼かれと親したしき者もの等らありて、人ひとを彼かれに遣つかはして、自みづから劇げき場ぢゃうに投とうぜざらんことを勧すすめたり。 32 時ときに或ある人ひとは此この事ことを號さけび、或ある人ひとは彼かれの事ことを號さけべり、蓋けだし會くわい衆しゅう乱みだれて、大たい半はんは何なんの爲ために集あつまれるかを知しらざりき。 33 イウデヤ人じんの勧すすに由よりて、民たみの中うちよりアレキサンドルは呼よび出いだされたり。アレキサンドル手てを揺うごかして、民たみに言いはんと欲ほっせしが、 34 其そのイウデヤ人じんたるを知しりて、皆みな聲こゑを同おなじくして、約およそ二に時じ間かん呼よびて曰いへり、大おほいなる哉かなエフェス人じんのアルテミダよ。 35 邑まちの書しょ記き官くわんは民たみを撫しづめて曰いへり、エフェスの人人ひとびとよ、何なん人ぴとかエフェスの邑まちが大おほいなる女にょ神しんアルテミダ及およびディヲペトの奉ほう事じ者しゃたるを知しらざらん。 36 此この事こと已すでに駁ばくす能あたはざれば、爾なんぢ等ら靖しづかになりて、輕けい率そつに事ことを行おこなふ可べからず。 37 爾なんぢ等らは此この人人ひとびとを曳ひき來きたれり、然しかれども彼かれ等らは未いまだ曾かつて殿でんの物ものを竊ぬすまず、爾なんぢ等らの女にょ神しんを讟そしらず。 38 若もしディミトリイ及および彼かれと偕ともにする工人さいくにん、人ひとを訴うったふることあらば、裁判さいばん所しょあり、方はう伯はくあり、互たがひに訴うったふ可べし。 39 若もし他たの事ことに就つきて求もとむる所ところあらば、法はふに合かなふ會くわいに於おいて之これを議ぎ定ていせられん。 40 蓋けだし我われ等らは今こん日にち行おこなはれし事ことに就つきて、騒さう乱らんの爲ために罪つみせらるる虞おそれあり、此この粉みだれたる聚あつまりを解いいひらくべき辞ことば一いつもなければなり。言いひ畢をはりて、會くわいを散さんじたり。