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第1章 (使徒行録)

使徒行錄

第一篇 聖ペトロの事蹟。
 第一項 エルザレムに於る聖會の開始。
  第一款 キリスト傳聖會史との間の事柄。

1 テオフィロよ、我われ前さきに第だい一の書しょを作つくりて、總すべてイエズスの初はじめより行おこなひ且かつ敎をしへ給たまひしことを述のべ、 2 其その選えらみ給たまひし使し徒と等たちに聖せい靈れいに由よりて命めいじ置おき、然さて天てんに上あげられ給たまひし日ひまでに及およびたりしが、 3 イエズス御ご受じゅ難なんの後のち、多おほくの徴しるしを以もって、彼かれ等らに己おのれの活いきたる事ことを證しょう明めいし、四十日にちの間あひだ彼かれ等らに現あらはれ、神かみの國くにに關くわんして談ものがたり給たまへり。

   第一 キリストの御昇天。

4 又また共ともに食しょくしつつ彼かれ等らに、エルザレムを離はなれずして父ちちの約やく束そくを待まつべしと命めいじ、然さて曰のたまひけるは、「汝なんぢ等ら我わが口くちづから其その約やく束そくを聞きけり、 5 蓋けだしヨハネは水みづにて洗せんしたれども、汝なんぢ等らは日ひ久ひさしからずして聖せい靈れいにて洗せんせらるべきなり、と。
6 然されば集あつまりたる人々ひとびと問とひて、主しゅよ、イスラエルの國くにを回くわい復ふくし給たまふは此この頃ごろなるか、と云いひければ、 7 イエズス曰のたまひけるは、父ちちが其その權けん能のうによりて定さだめ給たまひし時じ刻こくは、汝なんぢ等らの知しるべきに非あらず、 8 但ただ汝なんぢ等らに臨のぞみ給たまふ聖せい靈れいの能のう力りょくを受うけて、汝なんぢ等らはエルザレム、ユデア全ぜん國こく、サマリア、地ちの極はてに至いたる迄までも我わが證しょう人にんとならん、と。
9 斯かく曰のたまひ終はてて彼かれ等らの見みる中うちに上あげられ給たまひしが、一叢ひとむらの雲くも之これを受うけて見みえざらしめたり。 10 彼かれ等らが猶なほ天てんに昇のぼり往ゆき給たまふを眺ながめ居ゐたる程ほどに、白びゃく衣えの人ひと二人ふたり忽たちまち彼かれ等らの傍かたはらに立たちて言いひけるは、 11 ガリレア人じんよ、何なんぞ天てんを仰あふぎつつ立たてるや、汝なんぢ等らを離はなれて天てんに上あげられ給たまひし此このイエズスは、汝なんぢ等らが其その天てんに往ゆき給たまふを見みたる如ごとく、復また斯かくの如ごとくにして來きたり給たまふべし、と。

   第二 使徒等ユダの後任者を選む。

12 然さて使し徒と等たち、橄欖山かんらんざんと云いへる山やまよりエルザレムに還かへりしが、此この山やまはエルザレムに近ちかく、安息日あんそくじつにも行ゆかるべき道みち程のりなり。 13 然さて入いりてペトロとヨハネ、ヤコボとアンデレア、フィリッポとトマ、バルトロメオとマテオ、アルフェオの子こヤコボとゼロテなるシモンと、ヤコボの兄きゃう弟だいユダとの宿やどれる高たか間まに登のぼりしが、 14 彼かれ等ら皆みな婦ふ人じん等ら及およびイエズスの母ははマリア、及およびイエズスの兄きゃう弟だい等たちと共ともに、心こころを同おなじうして耐たへ忍しのびつつ祈き禱たうに從じゅう事じし居ゐたり。
15 其その頃ころ、共ともに集あつまれる人ひと約およそ百廿名ななりしが、ペトロ兄きゃう弟だいの中うちに立たちて云いひけるは、 16 兄きゃう弟だいの人々ひとびとよ、イエズスを捕とらへし者もの等どもの案あん内ない者しゃとなりしユダに就つきて、聖せい靈れいがダヴィドの口くちを以もって預よ言げんし給たまひたる聖書せいしょは、成じゃう就じゅせざるべからず。 17 彼かれは我われ等らの員かずに入いりて此この聖せい役えきに與あづかりたれども、 18 不ふ義ぎの價あたひを以もって畑はたを求もとめ、(吊つるされて)俯うつ伏ぶしに倒たふれ、其その身み眞ただ中なかより裂さけて腸はらわた悉ことごとく迸ほどばしり出いでたり。 19 此この事ことエルザレムの住ぢゅう民みんに知しれ渡わたりて、此この畑はたは彼かれ等らの方言ことばにてハケルダマ、即すなはち血ちの畑はたと呼よばれたり。 20 蓋けだし詩しの書しょに錄かきしるして、「彼かの檻をりは荒あれて、之これに住すむ人ひとなかるべし」、又また「他た人にん其その務つとめを受うくべし」、とあれば、 21 我われ等らと共ともに集あつまれる此この人々ひとびとの中うちより、總すべて主しゅイエズス、キリストが我われ等らの中うちに出いで入いりし給たまひし間あひだ、 22 即すなはちヨハネの洗禮せんれいより始はじめ、我われ等らを離はなれて上あげられ給たまひし日ひに至いたるまで、一いっ所しょに在ありし者ものの一人ひとり、我われ等らと共ともに其その復ふく活くわつの證しょう人にんとならざるべからず、と。
23 是ここに於おいて彼かれ等ら、バルサバと呼よばれ、義ぎ人じんと綽あだ名なされたるヨゼフと、マチアとの二人ふたりを擧あげ、 24 祈いのりて云いひけるは、總すべての人ひとの心こころを知しり給たまへる主しゅよ、ユダの己おのが處ところに往ゆかんとて退しりぞきし此この務つとめと使し徒と職しょくとを引ひき受うくべく、 25 此この二人ふたりの何いづれを選えらみ給たまへるかを知しらしめ給たまへ、と。 26 斯かくて彼かれ等らに鬮くじを與あたへしに、鬮くじはマチアに當あたりしかば、彼かれ十一人にんの使し徒とに加くはへられたり。