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第6章 (使徒行録)

  第五款 ステファノの殉敎。
   第一 執事の選擧。

1 其その頃ころ弟子でしの數かずの加くははるに隨したがひ、ギリシア語ごのユデア人じん、其その寡婦やもめ等らが毎まい日にちの施ほどこしに漏もらされたりとて、ヘブレオ語ごのユデア人じんに對たいして呟つぶやくに至いたりしかば、 2 十二使し徒と許多あまたの弟子でしを呼よび集あつめて云いひけるは、我われ等らが神かみの御おん言ことばを措さしおて食しょく卓たくに給きふ仕じするは、道だう理りに非あらず。 3 故ゆゑに兄きゃう弟だい等たちよ、汝なんぢ等らの中うちより、聖せい靈れいと知ち慮りょとに充みちて好かう評ひゃうある者もの七人にんを選えらめ、我われ等ら之これに此この事じ務むを宰つかさどらしめ、 4 自みづからは祈き禱たうと宣せん敎けうとに身みを委ゆだねん、と。
5 此この言ことば群ぐん衆しゅう一同いちどうの心こころに適かなひしかば、信しん仰かうと聖せい靈れいとに充みてるステファノ並ならびにフィリッポ、プロコロ、ニカノル、チモン、パルメナ、又またユデア敎けうに歸き依えしたりしアンチオキアのニコラを選えらみて、 6 使し徒と等たちの前まへに差さし出いだしたるに、使し徒と等たちは祈き禱たうしつつ之これに按あん手しゅせり。
7 斯かくて主しゅの御おん言ことば益ますます弘ひろまり、エルザレムに於おいて弟子でしの數かずの增ます事こと非ひ常じゃうにして、司し祭さいの信しん仰かうに歸き服ふくしたる者ものも亦また夥おびただしかりき。

   第二 ステファノ衆議所に引かる。

8 斯かくてステファノは恩おん寵ちょうと勇ゆう氣きとに充みちて、大おほいなる奇き蹟せきと徴しるしとを人じん民みんの中うちに行おこなひ居ゐたりしが、 9 或ある人々ひとびとは、所謂いはゆる被ひ解かい放ほう者しゃの會くわい堂だう、及およびクレネ人じん、アレキサンドリア人じん、及およびシリシアと[小せう]アジアとの出しゅっ身しん者しゃの諸しょ會くわい堂だうより起たちて、ステファノと爭そう論ろんすれども、 10 彼かれの智ち慧ゑと彼かれに於おいて語かたり給たまへる聖せい靈れいとに抵てい抗かうする事こと能あたはざりき。 11 然されば彼かれ等ら或ある人々ひとびとを敎けう唆さして、我われ等らは彼かれがモイゼと神かみとを冒ばう瀆とくする言ことばを出いだせるを聞きけり、と云いはしめ、 12 終つひに人じん民みんと長ちゃう老らうと律法りっぱう學がく士しとを煽せん動どうして、一いっ齊せいに飛とび掛かかりて之これを捕とらへ、衆しゅう議ぎ所しょに引ひき出いだし、 13 僞ぎ證しょう人にんを立たてて云いはせけるは、此この人ひとは聖せい所じょと律法りっぱうとに反はんする言ことばを語かたりて止やまず、 14 即すなはち我われ等らは、彼かのナザレトのイエズス此この所ところを亡ほろぼし、モイゼの我われ等らに傳つたへし例れいを變かふべし、と彼かれが言いふを聞きけり、と。 15 斯かくて議ぎ會くわいに列れつ座ざせる人ひと、一同いちどうに目めを注そそぎてステファノを見みれば、其その顔かほ恰あたかも天てん使しの顔かほの如ごとくなりき。