26_02

第11章 (ヨハネ聖福音書)

 第五項 衝突其極に達す。
  第一款 ラザルの復活。

1 てマリアとそのまいマルタとのさとなるベタニアに、ラザルとへるひとりしが、 2 マリアはすなはかうしゅそそぎ、おんあしおのかみのけにてぬぐひしをんなにして、めるラザルはそのきゃうだいなり。 3 ればかれまいひとをイエズスのおんもとつかはし、しゅなんぢあいたまひとめり、とはしめしに、 4 イエズスきてのたまひけるは、このやまひいたるものにあらず、かみくわうえいためかみこれりてくわうえいためなり、と。
5 イエズスはマルタとそのまいマリアとラザルとをあいたまひしが、 6 ラザルのめるをき、なほおなところとどまること二日ふつかにして、 7 つひ弟子でしたちむかひ、われまたユデアへおもむかん、とのたまひしかば、 8 弟子でしたちひけるは、ラビ、ただいまユデアじんなんぢいしなげうたんとしたりしに、また彼處かしこたまふか。 9 イエズスこたへてのたまひけるは、一にちに十二あるにあらずや、ひとひるあゆときは、このひかりゆゑつまづかざれども、 10 よるあゆときは、ひかりあらざるゆゑつまづくなり、と。 11 のたまひてのちまたわれしんいうラザルはねむれり、れどわれきてこれねむりよりよびおこさん、とのたまひしかば、 12 弟子でしたちしゅと、ねむれるならばかれゆべきなり、とへり。 13 ただイエズスののたまひしはかれことなりしを、弟子でしたちねむりてせることをのたまひしならんとおもひたりければ、 14 イエズスあきらかにのたまひけるは、ラザルはせり、 15 われなんぢためすなはなんぢしんぜしめんために、彼處かしこらざりしことをよろこぶ、かれもとかん、と。 16 ればヂヂモとばれたるトマ、そのあひ弟子でしひけるは、われきてかれともなん、と。
17 かくてイエズスいたりてたまひしに、ラザルははかことすで四日よっかなりき。 18 しかるにベタニアはエルザレムにちかくして、廿五ちゃうばかりへだてたれば、 19 數多あまたのユデアじん、マルタとマリアとをそのきゃうだいこときてとむらはんためきたりてありき。 20 マルタはイエズスきたたまふとくや、すなはいでむかへしが、マリアはいへうちたり。 21 マルタ イエズスにひけるは、しゅよ、もし此處ここいまししならば、わがきゃうだいなざりしものを、 22 れどかみなにごともとたまふともかみこれなんぢたまふべしとは、いまれるところなり、と。 23 イエズス、なんぢきゃうだいふくくわつすべし、とのたまひしかば、 24 マルタひけるは、われかれをはりふくくわつときふくくわつすべきことをれり、と。 25 イエズス、われふくくわつなり、生命せいめいなり、われしんずるひとすともくべし、 26 またきてわれしんずるひとは、すべえいゑんすることなし、なんぢこれしんずるか、とのたまひしに、 27 マルタひけるは、しゅよ、しかり、われなんぢけるかみおんキリストのこのきたたまひたるものなるをしんず、と。
28 ひてのちきてそのまいマリアをささやきて、ここいましてなんぢたまふ、とひしに、 29 かれこれくや、ただちちてイエズスのもといたれり、 30 すなはちイエズスいまさとたまはずして、なほマルタがいでむかへしところたまひしなり。 31 ればマリアとともいへりてこれとむらたりしユデアじんかれすみやかちていでしをかれかんとてはかくぞ、とひつつあとしたがひしが、 32 マリアはイエズスのたまところいたり、これるやおんあしもとひれして、しゅよ、もし此處ここいまししならば、わがきゃうだいなざりしものを、とひければ、 33 イエズスかれり、ともなきたれるユデアじんれるをきゃうちゅうかんげきしておんこころさわがしめたまひ、 34 なんぢ何處いづこかれきたるぞ、とのたまひしに、かれは、しゅよ、きたたまへ、とひければ、 35 イエズスなみだながたまへり。
36 ればユデアじんかれあいたまひしこと如何いかばかりなるを、とひしが、 37 またそのうちある人々ひとびとかれうまれながらなる瞽者めしひけしに、このひとせざらしむるをざりしか、とひければ、 38 イエズスまたしんちゅうかんげきしつつはかいたたまへり。はかほらにして、これいしおほひてありしが、 39 イエズス、いしとりけよ、とのたまへばにんまいマルタひけるは、しゅよ、はや四日よっかなればかれすでくさきなり、と。 40 イエズスのたまひけるは、なんぢもししんぜばかみくわうえいるべし、とわれなんぢげしにあらずや、と。 41 かくいしとりけしに、イエズスげてのたまひけるは、ちちよ、われたまひしことをしゃたてまつる。 42 何時いつわれたまことは、われもとよりこれれども、なんぢわれつかはしたまひしことかれしんぜしめんとて、たちへる人々ひとびとためこれへるなり、と。 43 のたまをはりてこゑたかく、ラザルいできたれ、とよばはりたまひしに、 44 したりしものたちまあしぬのかれたるままいできたり、そのかほなほあせふきつつまれたれば、イエズス人々ひとびとに、これきてかしめよ、とのたまへり。
45 ればマリアとマルタとのもとあはせて、イエズスのたまひしことしユデアじんうちには、これしんじたるものおほかりしが、 46 うちにはファリザイじんもといたりて、イエズスのたまひしことぐるものありしかば、 47 さいちゃう、ファリザイじんくわいせうしふして、このひと數多あまたせきすを、われ如何いかにすべきぞ、 48 もしそのままゆるかば、みなかれしんかうすべく、またロマじんきたりてわれ土地とちこくみんとをほろぼすべし、とひたるに、 49 そのうち一人ひとりカイファとばるるものそのとしだいさいなりけるが、かれひけるは、なんぢことかいせず、 50 また一人いちにんじんみんためしてぜんこくみんほろびざるはなんぢあることおもはざるなり、と。 51 かれおのれよりこれひしにあらず、そのとしだいさいなれば、イエズスがこくみんためたまふべきことげんしたるなり、 52 すなはただこのこくみんためのみならず、ちりみだれたるかみどもひとつあつめんがためなりき。 53 ればこのより、かれイエズスをころさんとはかりしかば、 54 イエズスはやあらはにユデアじんうちあゆたまはず、あれつづけるはうき、エフレムとへるまちいたりて、弟子でしたちとも其處そことどまたまへり。
55 かくてユデアじんすぎこしのまつりちかづきければ、これさきだちてきよめんために、はうよりエルザレムにのぼれるひとおほかりしが、 56 かれイエズスをさがしつつ[しん]殿でんちて、なんぢ如何いかおもふぞ、かれこのまつりきたらざるか、とかたりへり。 57 さいちゃう ファリザイじんは、イエズスをとらふべきにより、これ在所ありかれるひとあらばまうしづべし、とかねめいれいいだしたりしなり。