26_02

第20章 (ヨハネ聖福音書)

  第二款 イエズスの御復活及出現。

1 週しうの第だい一日にち、マグダレナ、マリア朝あさ爽まだきに墓はかに往ゆき、墓はかより石いしの取とり除のけられたるを見みしかば、 2 走はしりてシモン、ペトロ及およびイエズスの愛あいし居ゐ給たまひし今いま一人ひとりの弟子でしの許もとに至いたり、主しゅを墓はかより取とり去さりたる人ひとあり、何處いづこに置おきたるか我われ等らは之これを知しらず、と云いひければ、 3 ペトロと彼かの一人ひとりの弟子でし出いでて墓はかに往ゆけり。 4 二人ふたり共ともに走はしり居をりしが、彼かの一人ひとりの弟子でしペトロに走はしり勝かちて先まづ墓はかに着つき、 5 身みを屈かがめて、布ぬのの橫よこたはれるを見みしも、未いまだ内うちに入いらざる程ほどに、 6 シモン、ペトロ後あとより來きたり、墓はかに入いりて見みれば布ぬのは橫よこたはりて、 7 頭かうべを覆おほひたりし汗あせ拭ふきは布ぬのと共ともに置おかれずして、卷まきて別べつの處ところに在ありき。 8 其その時とき先まづ墓はかに着つきし彼かの一人ひとりの弟子でしも内うちに入いり、見みて信しんじたり。 9 其そは彼かれ等ら未いまだ、イエズスが死し者しゃの中うちより復ふく活くわつし給たまふべし、との聖書せいしょを知しらざりければなり。 10 斯かくて兩りゃう人にんの弟子でしは己おのが家いへに歸かへれり。
11 然されどマリアは墓はかの外そとに立たちて泣なき居をりしが、泣なきつつ身みを屈かがめて墓はかを覗のぞきしに、 12 白びゃく衣えを着きたる二ふたつの天てん使し、イエズスの御おん屍しかばねの置おかれたりし處ところに、一ひとつは頭かしらの方かたに、一ひとつは足あしの方かたに坐ざせるを見みたり。 13 彼かれ等らマリアに向むかひ、婦をんなよ、何なに故ゆゑに泣なくぞ、と云いひしかば、マリア云いひけるは、我わが主しゅを取とり去さりたる人ひとありて、何處いづこに置おきたるか我われ之これを知しらざる故ゆゑなり、と。 14 斯かく言いひ終をはりて後うしろを回ふり顧かへりしに、イエズスの立たち給たまへるを見みたり。然されど其そのイエズスなる事ことを知しらざりしが、 15 イエズス之これに、婦をんなよ、何なに故ゆゑに泣なくぞ、誰たれを尋たづぬるぞ、と曰のたまひしかば、マリア園ゑん丁ていならんと思おもひて之これに謂いひけるは、君きみよ、若もし汝なんぢが彼かれを取とり去さりしならば、其その置おきたる處ところを我われに告つげよ、我われ之これを引ひき取とるべし、と。 16 イエズス、マリアよ、と曰のたまひければ彼かれ回ふり顧かへりて、ラボニ、即すなはち師しよ、と云いへり。 17 イエズスこれに向むかひ、我われ未いまだ我わが父ちちに陟のぼらざれば我われに觸ふるる事こと勿なかれ、但ただ先まづわが兄きゃう弟だい等らに至いたりて、我われは汝なんぢ等らの父ちちなる我わが父ちち、汝なんぢ等らの神かみなる我わが神かみに陟のぼると云いへ、と曰のたまひければ、 18 マグダレナ、マリア往ゆきて、我わが主しゅを見みたり、我われに云い曰のたまへり、と弟子でし等たちに告つげたり。
19 斯かくて其その日ひ、即すなはち週しうの第だい一いち日じつ旣すでに暮くれて、弟子でし等たちユデア人じんの怖おそろしさに戸とを閉とぢて集あつまれる處ところに、イエズス來きたりて其その中なかに立たち曰のたまひけるは、汝なんぢ等ら安やすかれ、と。斯かく曰のたまひて、 20 手てと脇わきとを彼かれ等らに示しめし給たまひければ、弟子でし等たち主しゅを見みて喜よろこべり。 21 イエズス復また曰のたまひけるは、汝なんぢ等ら安やすかれ、父ちちの我われを遣つかはし給たまひし如ごとく、我われも汝なんぢ等らを遣つかはすなり、と。 22 斯かく曰のたまひて、息いき吹ふき掛かけて曰のたまひけるは、聖せい靈れいを受うけよ、 23 汝なんぢ等ら誰たれの罪つみを赦ゆるさんも其その罪つみ赦ゆるされん、誰たれの罪つみを止とどめんも其その罪つみ止とどめられたるなり、と。
24 然しかるに十二人にんの一人ひとりにしてヂヂモと呼よばるるトマは、イエズスの來きたり給たまひし時とき彼かれ等らと共ともに居をらざりしかば、 25 他たの弟子でし等たち之これに向むかひ、我われ等らは主しゅを見みたり、と云いひしに、彼かれ云いひけるは、我われは其その手てに釘くぎの痕あとを見みて、其その釘くぎの處ところに我わが指ゆびを入いれ、其その脇わきに我わが手てを入いるるに非あらずば信しんぜじ、と。
26 八日やうかの後のち、弟子でし等たち復また内うちにありてトマも共ともに居をりしが、戸とは閉とぢたるにイエズス來きたりて眞まん中なかに立たち給たまひ、汝なんぢ等ら安やすかれ、と曰のたまひて、 27 軈やがてトマに曰のたまひけるは、汝なんぢ指ゆびを茲ここに入いれて我わが手てを見みよ、手てを伸のべて我わが脇わきに入いれよ、不ふ信しん者じゃとならずして信しん者じゃとなれ、と。 28 トマ答こたへて、我わが主しゅよ、我わが神かみよ、と云いひしかば、 29 イエズス之これに曰のたまひけるは、トマ汝なんぢは我われを見みしによりて信しんじたるが、見みずして信しんぜし人々ひとびとこそ福さいはひなれ、と。
30 此この外ほかにも尚なほ數多あまたの徴しるしを、イエズス弟子でし等たちの眼がん前ぜんに爲なし給たまひしかど本ほん書しょには書かき載のせず。 31 是これ等らの事ことを書かき載のせられたるは、汝なんぢ等らがイエズスの神かみの御おん子こキリストたる事ことを信しんぜん爲ため、信しんじて御み名なによりて生命せいめいを得えん爲ためなり。