26_03

第15章 (使徒行録}

 第二項 エルザレムの敎議會。

1 斯かくて或ある人々ひとびと、ユデアより下くだりて兄きゃう弟だい等たちに向むかひ、汝なんぢ等らモイゼの慣くわん例れいに從したがひて割かつ禮れいを受うくるに非あらずば救靈たすかりを得えず、と敎をしへければ、 2 パウロとバルナバと、彼かれ等らに對たいして一方ひとかたならぬ諍論さうろんを爲なししが、信しん徒とはパウロ、バルナバ、及および反はん對たい側がはの數す人にんをエルザレムに上のぼせ、此この問もん題だいに就つき使し徒と等たち及および長ちゃう老らう等たちに伺うかがはん事ことに定さだめたり。 3 然されば彼かれ等ら敎けう會くわいに見み送おくられて、フェニケア及およびサマリアを經へ、異い邦はう人じん感かん化くわの事じ情じゃうを具つぶさに語かたりて、兄きゃう弟だい一同いちどうに大おほいなる喜よろこびを起おこさせたり。
4 一行いっかうエルザレムに至いたりて、敎けう會くわいと使し徒と等たちと長ちゃう老らう等たちとに迎むかへられ、神かみの己おのれ等らと共ともに爲なし給たまひし事ことの次し第だいを告つげしが、 5 ファリザイ派はの中うちなる數す人にんの信しん者じゃ起たちて、異い邦はう人じんは割かつ禮れいを受うけざるべからず、又また命めいじてモイゼの律法りっぱうを守まもらしむべし、と云いひければ、 6 使し徒と等たち及および長ちゃう老らう等たち、此この事ことを調しらべんとて集あつまれり。 7 激はげしき諍論さうろんの後のち、ペトロ立たちて彼かれ等らに謂いひけるは、兄きゃう弟だいたる人々ひとびとよ、久ひさしき以い前ぜんに、神かみ我われ等らの中うちより選えらみて、我わが口くちを以もって異い邦はう人じんに福音ふくいんの言ことばを聞きかせ、之これを信しんぜしめ給たまひし事ことは、汝なんぢ等らの知しる所ところなり。 8 且かつ人ひとの心こころを知しり給たまふ神かみは、汝なんぢ等らに賜たまひし如ごとく、彼かれ等らにも聖せい靈れいを賜たまひて證しょう明めいし給たまひ、 9 信しん仰かうによりて彼かれ等らの心こころを潔きよめ、我われ等らと彼かれ等らとを聊いささかも隔へだて給たまひしことなし。 10 然さるを何爲なんすれぞ、汝なんぢ等ら神かみを試こころみて、我われ等らの先せん祖ぞも我われ等らも負おふ能あたはざりし軛くびきを、今いま弟子でし等たちの頸くびに負おはせんとはする。 11 我われ等らの救すくはるるは主しゅイエズス、キリストの恩おん寵ちょうによれりとは、我われ等らの信しんずる所ところにして、彼かれ等らも亦また然しかるなり、と。
12 會くわい衆しゅう皆みな沈ちん默もくして、パウロとバルナバとが、異い邦はう人じんの中うちに己おのれ等らを以もって神かみの行おこなひ給たまひし凡すべての徴しるしと奇き蹟せきとを語かたるを聽ききたりしが、 13 彼かれ等らが沈ちん默もくを保たもちたる後のち、ヤコボ答こたへて云いひけるは、兄きゃう弟だいたる人々ひとびとよ、我われに聞きけ、 14 シモン旣すでに神かみ始はじめて異い邦はう人じんを顧かへりみ、其その中うちより己おのが名なを尊たふとぶ民たみを取とり給たまひし次し第だいを述のべしが、 15 預よ言げん者しゃ等たちの言ことば之これに合かなへり、錄かきしるして、 16 「此この後のち我われ返かへりて、倒たふれたるダヴィドの幕まく屋やを再さい興こうし、其その崩くづれたる所ところを繕つくろひ、且かつ之これを建たてん、 17 是こは他たの人々ひとびと及および、爲ために我わが名なを呼よばれたる萬ばん國こくの異い邦はう人じんが主しゅを求もとめ得えん爲ためなり、之これを爲なし給たまふ所ところの主しゅ之これを曰のたまふ」、とあるが如ごとし。 18 主しゅは世よの始はじめより己おのが業げふを知しり給たまふ、 19 之これによりて我われ思おもふに、異い邦はう人じんより神かみに歸き依えする人々ひとびとを煩わづらはすべからず、 20 唯ただ書しょを贈おくりて、偶ぐう像ざうに捧ささげられし物ものと、私し通つうと、絞しめ殺ころされし獸けものの肉にくと血ちとを戒いましむべし、 21 蓋けだしモイゼの書しょは、安息日あんそくじつ毎ごとに會くわい堂だうに於おいて讀よまれ、之これを述のぶる人ひと昔より何いづれの市ま町ちにも在あればなり、と。
22 是ここに於おいて使し徒と等たち、長ちゃう老らう等たち、及および敎けう會くわい一同いちどうに、其その中うちより人ひとを選えらみて、パウロ、バルナバと共ともにアンチオキアに遣つかはすを可よしとせり、其その人々ひとびとはバルサバとも呼よばるるユダ、及およびシラにして、兄きゃう弟だい中うちの重おも立だちたる者ものなりき。 23 彼かれ等らの手てに托たくせられし書しょ翰かんの文ぶんに曰いはく、「使し徒と等たち及および兄きゃう弟だいたる長ちゃう老らう等たち、アンチオキアとシリアとシリシアとに在ある異い邦はう人じんたりし兄きゃう弟だい等たちに挨拶あいさつす。 24 我われ等らの聞きく所ところに據よれば、或ある人々ひとびと、我われ等らが命めいじたる事こともなきに、我われ等らの中うちより出いで行ゆきて汝なんぢ等らの魂たましひを覆くつがへし、言ことばを以もって汝なんぢ等らを擾みだしたる由よしなれば、 25 我われ等ら一いっ致ちして人ひとを選えらみ、 26 我わが主しゅイエズス、キリストの御み名なの爲ために生命せいめいを惜おしまざりし人ひと、我われ等らが至し愛あいなるバルナバ及およびパウロと共ともに、汝なんぢ等らに遣つかはさん事ことを宜よしとせり。 27 然さればユダとシラとを遣つかはしたるが、彼かれ等ら口くちづから是これ等らの事ことを汝なんぢ等らに告つげん。 28 蓋けだし聖せい靈れいと我われ等らとは、左さの必ひつ要えうなる事ことの外ほか、汝なんぢ等らに何なん等らの荷にをも負おはしめざるを宜よしとせり。 29 即すなはち汝なんぢ等らが偶ぐう像ざうに捧ささげられし物ものと、血ちと絞しめ殺ころされしものと、私し通つうとを絶たつべき事こと是これなり。是これ等らの事ことを愼つつしまば、其それにて宜よろしかるべし、汝なんぢ等ら健康すこやかなれ、」と。
30 然さて彼かれ等ら暇いとま乞ごひしてアンチオキアに下くだり、信しん徒とを集あつめて書しょ翰かんを渡わたししが、 31 人々ひとびと之これを讀よみて、慰なぐさめを得えて喜よろこべり。 32 ユダとシラとは其その身みも預よ言げん者しゃなれば、多おほくの談だん話わを以もって兄きゃう弟だいを勸すすめ且かつ堅かためたりしが、 33 暫しばらく此處ここに留とどまりて後のち、己おのれを遣つかはしし者ものの許もとに歸かへらんとて、兄きゃう弟だい等たちに無ぶ事じを祝しゅくされて暇いとまを乞こひ得えたり。 34 然されどシラは此處ここに留とどまるを宜よろしとせしかば、ユダ一人ひとりエルザレムに歸かへり、 35 パウロとバルナバとはアンチオキアに留とどまり、他たの數す人にんと共ともに主しゅの御おん言ことばを敎をしへ、福音ふくいんを宣のべつつありき。

 第三項 聖パウロ第二回の傳道旅行。

36 然さて數す日じつの後のち、パウロはバルナバに向むかひ、將はた我われ等ら後あと戻もどりして、曩さきに主しゅの御おん言ことばを宣のべ傳つたへし凡すべての市ま町ちを巡じゅん廻くわいし、其その安あん否ぴを問とはん、と云いひしが、 37 バルナバはマルコとも呼よばるるヨハネを携たづさへんと思おもへるに、 38 パウロは、彼かれは曾かつてパンフィリアにて己おのれ等らを離はなれ、共ともに働はたらかざりし者ものなれば、之これを承うけ容いるべからず、と考かんがへ居ゐたりしかば、 39 遂つひに衝しょう突とつして相あひ別わかるるに至いたれり。さればバルナバはマルコを携たづさへてクプロ[島じま]へ出しゅっ帆ぱんせしが、 40 パウロはシラを選えらみて、兄きゃう弟だい等たちより神かみの恩おん寵ちょうに委ゆだねられて出しゅっ立たつし、 41 シリアとシリシアとを巡めぐりて諸しょ敎けう會くわいを固かため、使し徒と等たち及および長ちゃう老らう等たちの規き定ていを守まもるべき事ことを敎をしへ居ゐたり。