26_02

第2章 (マテオ聖福音書)

 第三項 博士等の参拝。

1 斯かくてイエズス、ヘロデ王わうの時とき、ユデアのベトレヘムに生うまれ給たまひしかば、折をりしも博士はかせ等ら東方とうはうよりエルザレムに來きたりて、 2 云いひけるは、生うまれたるユデア人じんの王わうは何處いづこに在いますぞ、即すなはち我われ等ら東方とうはうにて彼かれが星ほしを見み、之これを拜をがみに來きたれり、と。
3 ヘロデ王わう之これを聞ききて狼狽うろたへしが、エルザレムも亦また擧こぞりて然しかありき。 4 王わうは司し祭さい長ちゃうと民みん間かんの律法りっぱう學がく士しとを悉ことごとく集あつめて、キリスト何處いづこに生うまるべきかと問とひたるに、 5 彼かれ等ら云いひけるは、ユデアのベトレヘムに、其そは預よ言げん者しゃの錄かきしるして、 6 「ユダの地ちベトレヘムよ、汝なんぢはユダの郡ぐん中ちゅうに最もっとも小ちひさき者ものには非あらず、蓋けだし我わがイスラエルの民たみを牧ぼくすべき君きみ汝なんぢの中うちより出いでん。」とあればなり、と。
7 其その時ときヘロデ密ひそかに博士はかせ等らを召めして、星ほしの現あらはれし時ときを聞きき匡ただし、 8 彼かれ等らをベトレヘムに遣おくるとて云いひけるは、往ゆきて詳つまびらかに孩兒をさなごの事ことを尋たづね、其そを見み出いださば我われに告つげよ、我われも往ゆきて之これを拜をがまん、と。
9 彼かれ等ら王わうの言ことばを聽ききて出いで行ゆきけるに、折をりしも東方とうはうにて見みたりし星ほし彼かれ等らの先さきに立たち、終つひに孩兒をさなごの居をる處ところに至いたりて其その上うへに止とどまれり。 10 彼かれ等ら其その星ほしを見みて甚はなはだ喜よろこび、 11 家いへに入いりて孩兒をさなごの其その母ははマリアと共ともに居をるを見み、平伏ひれふして之これを拜はいし、寳たから盒ばこを開ひらきて黄金わうごん 乳香にうかう 没藥もつやくの禮物れいもつを献ささげたり。 12 斯かくてヘロデに返かへること勿なかれとの示しめしを夢ゆめに得えて、他たの途みちより己おのが國くにに歸かへれり。

 第四項 聖家エジプトへ避難す。

13 博士はかせ等らの去さりし後のち、折をりしも主しゅの使つかひヨゼフの夢ゆめに現あらはれて云いひけるは、起おきて孩兒をさなごと其その母ははとを携たづさへてエジプトに逃のがれ、我われが汝なんぢに告つぐるまで彼處かしこに居をれ、其そはヘロデ孩兒をさなごを殺ころさんとて之これを索もとめんとすればなり、と。 14 ヨゼフ起おきて孩兒をさなごと其その母ははとを携たづさへて夜よるエジプトに避さけ、 15 ヘロデの死しするまで其處そこに居をれり、是これ主しゅより曾かつて預よ言げん者しゃを以もって云いはれし事ことの成じゃう 就じゅせん爲ためなり、曰いはく「我われ我わが子こをエジプトより呼よび出いだせり」と。 16 時ときにヘロデ、博士はかせ等らに欺あざむかれしを見みて大おほいに怒いかり、人ひとを遣つかはして博士はかせ等らに聞ききたりし時ときを度はかりて、ベトレヘム及および其その四し方はうに在ある二歳さい以い下かの男だん兒じを悉ことごとく殺ころせり。 17 斯かくて預よ言げん者しゃエレミアに依よりて云いはれたる事こと成じゃう就じゅせり、 18 曰いはく「ラマに聲こゑあり、歎なげきにして大おほいなる叫さけびなりけり、ラケル其その子こ等らを歎なげき、彼かれ等らの亡なきに因より敢あへて慰なぐさめを容いれず」と。

 第五項 エジプトよりの歸國。

19 ヘロデ死しせしかば、折をりしも主しゅの使つかひエジプトに於おいてヨゼフの夢ゆめに現あらはれ、 20 云いひけるは、起おきて孩兒をさなごと其その母ははとを携たづさへてイスラエルの地ちに往ゆけ、蓋けだし孩兒をさなごの生命いのちを索もとめし人々ひとびとは旣すでに死しせり、と。 21 ヨゼフ起おきて孩兒をさなごと其その母ははとを携たづさへ、イスラエルの地ちに至いたりしに、 22 アルケラオ其その父ちちヘロデに繼つぎてユデアを治をさむと聞きき、彼處かしこに往ゆく事ことを懼おそれしが、又また夢ゆめに告つげありてガリレアの地ち方はうに避さけ、 23 ナザレトと云いふ街まちに至いたりて住すめり。是これ預よ言げん者しゃ等たちによりて「彼かれはナザレト人じんと稱となへられん」と云いはれし事ことの成じゃう就じゅせん爲ためなり。