26_02

第6章 (マテオ聖福音書)

1 人ひとに見みられんとて人ひとの前まへに汝なんぢ等らの義ぎを爲なさざる様やう愼つつしめ。 然しからずば天てんに在まします汝なんぢ等らの父ちちの御み前まへに報むくいを得えじ。
2 然されば施ほどこしを爲なすに當あたりて、僞ぎ善ぜん者しゃが人ひとに尊たふとばれんとて會くわい堂だう及および衢ちまたに爲なす如ごとく、己おのが前まへに喇叭らっぱを吹ふくこと勿なかれ。 我われ誠まことに汝なんぢ等らに告つぐ、彼かれ等らは旣すでに其その報むくいを受うけたり。 3 汝なんぢが施ほどこしを爲なすに當あたりて、右みぎの手ての爲なす所ところ、左ひだりの手て之これを知しるべからず。 4 是これ汝なんぢの施ほどこしの隱かくれん爲ためなり。 然しからば隱かくれたるに見み給たまふ汝なんぢの父ちちは汝なんぢに報むくい給たまふべし。
5 又また祈いのる時とき僞ぎ善ぜん者しゃの如ごとく爲すること勿なかれ。 彼かれ等らは人ひとに見みられんとて會くわい堂だうに衢ちまたの隅すみに立たちて祈いのる事ことを好このむ。 我われ誠まことに汝なんぢ等らに告つぐ、彼かれ等らは旣すでに其その報むくいを受うけたり。 6 汝なんぢは祈いのるに己おのが室しつに入いりて戸とを閉とぢ、隱かくれたるに在ありて汝なんぢの父ちちに祈いのれ、然しからば隱かくれたるに見み給たまふ汝なんぢの父ちちは汝なんぢに報むくい給たまふべし。 7 又また祈いのるに異い邦はう人じんの如ごとく操くり言ごとを爲なすこと勿なかれ、彼かれ等らは言ことばの多おほきに由よりて聽きき容いれられんと思おもふなり。 8 故ゆゑに彼かれ等らに倣ならふこと勿なかれ、其そは汝なんぢ等らの父ちちは、汝なんぢ等らの願ねがはざる前まへに其その要えうする所ところを知しり給たまへばなり。 9 然されば汝なんぢ等ら斯かく祈いのるべし。 天てんに在まします我われ等らの父ちちよ、願ねがはくは御み名なの聖せいと爲せられん事ことを、 10 御み國くにの來きたらん事ことを、御み旨むねの天てんに行おこなはるる如ごとく地ちにも行おこなはれん事ことを。 11 我われ等らの日にち用ようの糧かてを今こん日にち我われ等らに與あたへ給たまへ。 12 我われ等らが己おのれに負債おひめある人ひとを赦ゆるす如ごとく、我われ等らの負債おひめをも赦ゆるし給たまへ。 13 我われ等らを試こころみに引ひき給たまふことなく、却かへって惡あくより救すくひ給たまへ、(アメン)と。 14 蓋けだし汝なんぢ等ら若もし人ひとの罪つみを赦ゆるさば、汝なんぢ等らの天てん父ぷも汝なんぢ等らの罪つみを赦ゆるし給たまふべく、 15 汝なんぢ等ら若もし人ひとを赦ゆるさずば、汝なんぢ等らの父ちちも汝なんぢ等らの罪つみを赦ゆるし給たまはざるべし。 16 汝なんぢ等ら斷だん食じきする時とき、僞ぎ善ぜん者しゃの如ごとく悲かなしき容さまを爲なすこと勿なかれ。 即すなはち彼かれ等らは、斷だん食じきする者ものと人ひとに見みえん爲ために其その顔がん色しょくを損そこなふなり。 我われ誠まことに汝なんぢ等らに告つぐ、彼かれ等らは旣すでに其その報むくいを受うけたり。 17 汝なんぢは斷だん食じきする時とき、頭かうべに膏あぶらを附つけ且かつ顔かほを洗あらへ、 18 是これ斷だん食じきする者ものと人ひとに見みえずして、隱かくれたるに在います汝なんぢの父ちちに見みえん爲ためなり、然しからば隱かくれたるに見み給たまふ汝なんぢの父ちちは汝なんぢに報むくい給たまふべし。
19 汝なんぢ等ら己おのれの爲ために寳たからを地ちに蓄たくはふること勿なかれ、此處ここには錆さびと蠹しみと喰くひ壞やぶり、盗ぬす人びと穿うがちて盗ぬすむなり。 20 汝なんぢ等ら己おのれの爲ために寳たからを天てんに蓄たくはへよ、彼處かしこには錆さびも蠹しみも壞やぶらず、盗ぬす人びと穿うがたず盗ぬすまざるなり。 21 其そは汝なんぢの寳たからの在ある處ところに心こころも亦また在あればなり。
22 汝なんぢの身みの燈ともしびは目めなり。 若もしし汝なんぢの目め淸きよくば全ぜん身しん明あきらかにならん、 23 汝なんぢの目め惡あしくば全ぜん身しん暗くらからん。 然されば汝なんぢの身みに在ある光ひかりすら暗黑くらやみならば、暗黑くらやみ其その物ものは如何いかがあるべきぞ。
24 誰たれも二人ふたりの主しゅに兼かね事つかふる事こと能あたはず、其そは或あるひは一人ひとりを憎にくみて一人ひとりを愛あいし、或あるひは一人ひとりに從したがひて一人ひとりを疎うとむべければなり。 汝なんぢ等らは神かみと富とみとに兼かね事つかふる事こと能あたはず、 25 故ゆゑに我われ汝なんぢ等らに告つぐ、生命いのちの爲ために何なにを食くらひ、身みの爲ために何なにを着きんかと思おも煩わづらふ勿なかれ、生命いのちは食しょく物もつに優まさり、身みは衣い服ふくに優まさるに非あらずや。 26 空そらの鳥とりを見みよ、彼かれ等らは撒まく事ことなく、刈かる事ことなく、倉くらに収をさむる事ことなきに、汝なんぢ等らの天てん父ぷは之これを養やしなひ給たまふ、汝なんぢ等らは是これよりも遥はるかに優まされるに非あらずや。 27 汝なんぢ等らの中うち誰たれか、思おひ煩わづらひて其その生命せいめいに一肘いっちうだも加くはふる事ことを得うる。 28 又また何なにとて衣い服ふくの爲ために思おもひ煩わづらふや、野のの百合ゆりの如何いかにして育そだつかを看みよ、働はたらく事ことなく紡つむぐ事ことなし、 29 然されども我われ汝なんぢ等らに告つぐ、サロモンだも、其その榮えい華ぐわの極きはみに於おいて、此この百合ゆりの一ひとつほどに装よそほはざりき。 30 今け日ふ在ありて明日あす炉ろに投なげ入いれらるる野のの草くさをさへ、神かみは斯かく装よそほはせ給たまへば、況いはんや汝なんぢ等らをや、信しん仰かう薄うすき者ものよ、 31 然されば汝なんぢ等らは、我われ等ら何なにを食くらひ何なにを飮のみ何なにを着きんかと云いひて思おもひ煩わづらふこと勿なかれ、 32 是これ皆みな異い邦はう人じんの求もとむる所ところにして、汝なんぢ等らの天てん父ぷは、是これ等らの物もの皆みな汝なんぢ等らに要えうあるを知しり給たまへばなり。 33 故ゆゑに先まづ神かみの國くにと其その義ぎとを求もとめよ、然しからば是これ等らの物もの皆みな汝なんぢ等らに加くはへらるべし。 34 然されば明日あすの爲ために思おもひ煩わづらふこと勿なかれ、明日あすは明日あす自みづから、己おのれの爲ために思おもひ煩わづらはん、其その日ひは其その日ひの勞らう苦くにて足たれり。