26_01

第5章 (ルカ福音)

1 民たみが神かみの言ことばを聽きかん爲ために、彼かれに擁おし逼せまりし時とき、彼かれゲンニサレトの湖みづうみの濵はまに立たちて、 2 二ふたつの舟ふねの湖みづうみに在あるを見みたり、漁ぎょ者しゃは舟ふねを離はなれて網あみを洗あらへり。 3 彼かれはシモンに属ぞくする一ひとつの舟ふねに登のぼりて、少すこしく岸きしより離はなれんことを請こひ、坐ざして舟ふねより民たみを教をしへたり。 4 語かたり竟をはりて、シモンに謂いへり、深ふかき處ところに移うつり、網あみを下したして、漁ぎょせよ。 5 シモン對こたへて曰いへり、夫ふう子しよ、我われ終夜よもすがら勞らうして、得うる所ところなかりき、然しかれども爾なんぢの言ことばに依よりて、我われ網あみを下おろさん。 6 旣すでに之これを行おこなひて、魚うをを囲かこめること甚はなはだ多おほく、網あみ裂さくるに至いたれり。 7 乃すなはち他たの舟ふねに在ある侶ともを招まねきて、來きたり助たすけしむるに、彼かれ等ら來きたりて、魚うを二ふたつの舟ふねに牣みちて、幾ほとんど沈しづまんとせり。 8 シモン ペトル之これを見みて、イイススの膝ひざ下もとに伏ふくして曰いへり、主しゅよ、我われを離はなれよ、我われ罪人ざいにんなればなり。 9 蓋けだし彼かれ及および彼かれと偕ともに在ありし者ものは、皆みな漁すなどりたる魚うをの爲ために甚はなはだ驚おどろけり、 10 シモンの侶ともたりしゼワェデイの子こイアコフ及およびイオアンも亦また然しかり。イイスス シモンに謂いへり、懼おそるる勿なかれ、今いまより後のち爾なんぢ人ひとを漁すなどらん。 11 彼かれ等ら舟ふねを岸きしに曳ひき、一切いっさいを舎すてて、彼かれに從したがへり。 12 イイスス一ひとつの邑まちに在ありし時とき、全ぜん身しん癩らい病びゃうを患わづらふる人ひと來きたり、イイススを見みて、俯ふ伏ふくし、彼かれに求もとめて曰いへり、主しゅよ、爾なんぢ若もし望のぞまば、我われ潔きよむるを能よくす。 13 彼かれ手てを伸のべて、之これに觸ふれて曰いへり、我われ望のぞむ、潔きよまれ。癩らい病びゃう直ただちに離はなれたり。 14 イイスス彼かれに戒いましめて言いふ、人ひとに告つぐる勿なかれ、乃すなはち往ゆきて、己おのれを司し祭さいに示しめせ、且かつ爾なんぢの潔きよまりし爲ために、モイセイの命めいぜし如ごとく獻けんじて、彼かれ等らに證しょうを爲なせ。 15 然しかれども其その聲名きこゑ益ますます播ひろまり、衆おほくの民たみは教をしへを聽きき、又また其その諸しょ病びゃうを醫いやされん爲ために彼かれに集あつまれり。 16 唯ただ彼かれは退しりぞきて、野のに適ゆきて禱いのれり。 17 一ある日ひ彼かれ教をしへを宣のべしに、ファリセイ等らと教けう法はふ師し等らと、ガリレヤの諸しょ郷きゃう、イウデヤ、及およびイエルサリムより來きたりし者ものは坐ざし、主しゅの能ちからは病びょう者しゃを醫いやすことに於おいて顯あらはれたり。 18 視みよ、人人ひとびと癱ちゅう瘋ぶうの者ものを牀とこに載のせて、舁かき來きたり、之これを家いへに入いれて、イイススの前まへに置おかんと欲ほっしたれども、 19 人ひとの衆おほきに因よりて、舁かき入いるる所ところを得えざれば、屋上やねに升のぼり、瓦かはらの間あひだより、彼かれを牀とこのままに縋つり下おろして、中なかにイイススの前まへに置おけり。 20 イイスス彼かれ等らの信しんを見みて、其その人ひとに謂いへり、人ひとよ、爾なんぢの罪つみは爾なんぢに赦ゆるさる。 21 學がく士し等ら及およびファリセイ等ら竊ひそかに議ぎして曰いへり、此この褻瀆けがしを言いふ者ものは誰たれぞ、獨ひとり神かみより外ほかに、誰たれが罪つみを赦ゆるすを得えん。 22 イイスス彼かれ等らの意おもひを知しりて、彼かれ等らに答こたへて曰いへり、爾なんぢ等ら何なんぞ心こころの中うちに議ぎする、 23 爾なんぢの罪つみは爾なんぢに赦ゆるさると言いひ、或あるひは起おきて行ゆけと言いふは、孰いづれか易やすき、 24 然しかれども爾なんぢ等らが人ひとの子この地ちに在ありて罪つみを赦ゆるす權けんあることを知しらん爲ため、(癱ちゅう瘋ぶうの者ものに向むかひて曰いへり)、爾なんぢに謂いふ、起おきて、爾なんぢの牀とこを取とりて、爾なんぢの家いへに往ゆけ。 25 彼かれ直ただちに彼かれ等らの前まへに置おき、臥ふし居ゐたる牀とこを取とり、神かみを讚さん榮えいして、其その家いへに往ゆけり。 26 衆しゅう皆みな駭おどろきて、神かみを讚さん榮えいし、且かつ大おほいに懼おそれて曰いへり、我われ等ら今こん日にち奇き異いなることを見みたり。 27 斯この後のちイイスス出いでて、稅ぜい吏り、名なはレワィイと曰いふ者ものの、稅ぜい關くわんに坐ざせるを見みて、之これに謂いへり、我われに從したがへ。 28 彼かれ一切いっさいを舎すてて、起たちて、彼かれに從したがへり。 29 レワィイ其その家いへに於おいて彼かれの爲ために大おほいなる筵えんを設まうけしに、諸しょ稅ぜい吏り及および他たの者ものは多おほく彼かれ等らと與あたに席せき坐ざせり。 30 學がく士し等らとファリセイ等らとは怨うらみ言ごとして、彼かれの門もん徒とに謂いへり、爾なんぢ等らは何なんぞ稅ぜい吏り及および罪人ざいにんと與あたに食しょく飮いんする。 31 イイスス彼かれに答こたへて曰いへり、康强すこやかなる者ものは醫い師しを需もとめず、乃すなはち病やまひを負おふ者ものは之これを需もとむ。 32 我わが來きたりしは、義ぎ人じんを召めす爲ために非あらず、乃すなはち罪人ざいにんを召めして悔くわい改かいせしめん爲ためなり。 33 彼かれ等らイイススに謂いへり、イオアンの門もん徒とは屡しばしば齋ものいみして祈き禱たうを爲なす、ファリセイ等らの門もん徒とも亦また然しかり、惟ただ爾なんぢの門もん徒とが食しょく飮いんするは何なんぞや。 34 彼かれは之これに謂いへり、爾なんぢ等らは婚こん筵えんの客かくに新娶者はなむこの尚なほ彼かれ等らと偕ともに在ある時とき、豈あに齋ものいみせしむるを得えんや。 35 然しかれども新娶者はなむこの彼かれ等らより取とらるる日ひ至いたらん、其その日ひには齋ものいみせん。 36 又また譬たとへを設まうけて彼かれ等らに謂いへり、新あたらしき衣ころもの布ぬのを取とりて、舊ふるき衣ころもを補おぎなふ者ものあらず、然しからずば新あたらしき衣ころもをも裂さき、且かつ新あたらしき者ものより取とりたる布ぬのは舊ふるき者ものと合かなはざらん。 37 又また新あたらしき酒さけを舊ふるき革かは嚢ふくろに盛もる者ものあらず、然しからずば新あたらしき酒さけは嚢ふくろを敗やぶりて、酒さけ漏もれ、嚢ふくろも亡ほろびん。 38 乃すなはち新あたらしき酒さけは新あたらしき嚢ふくろに盛もるべし、然しからば兩ふたつの者もの存そんせん。 39 又また舊ふるき酒さけを飮のみて、直ただちに新あたらしきを欲ほっする者ものあらず、蓋けだし曰いふ、舊ふるきは更さらに善よし。

No comments: