26_02

第20章 (聖使徒行実)

1 乱らんの靖しづまりし後のち、パワェル門もん徒とを召めして、之これを教けう訓くんし、之これに別わかれを告つげ出いでてマケドニヤに往ゆけり。 2 其その諸しょ地ちを經へて、多おほくの言ことばを以もって信しん者じゃを教けう訓くんして、エルラダに來きたれり。 3 居をること三さん月げつにして、シリヤに航わたらんと欲ほっせし時とき、イウデヤ人じん彼かれを害がいせんと謀はかりたれば、マケドニヤを過すぎて反かへらんことを定さだめたり。 4 彼かれを送おくりてアシヤに至いたりし者ものは、ピルの子こワェリヤの人ひとソシパトル、フェサロニカの人ひとアリスタルフ及およびセクンド、デルワィヤの人ひとガイ、及およびティモフェイ、アシヤの人ひとティヒク及およびトロフィムなり。 5 此この衆しゅうは先まづ往ゆきて、我われ等らをトロアダに俟まてり。 6 我われ等らは除ぢょ酵節かうせつの後のちに、フィリッピより舟しう行かうし、五日いつかにして彼かれ等らはトロアダに至いたり、七日しちじつ間かん其その處ところに留とどまれり。 7 七日なぬかの首はじめの日ひ、門もん徒とが餅ぱんを擘さく爲ために集あつまりし時とき、パワェル次つぎの日ひに往ゆかんと欲ほっして、彼かれ等らに講談かうだんし、言ことばを續つづけて夜や半はんに至いたれり。 8 我われ等らの集あつまれる楼たかどのに多おほくの燈ともしびありき。 9 パワェルの長ながく講談かうだんする時とき、一ひとりの少せう年ねん、名なはエウティフ、窓まどの上うへに坐ざして、熟じゅく睡すゐし、睡ねむりに因よりて、身み傾かたぶきて、三層楼さんがいより下したに墜おちたり、之これを扶たすくれば、已すでに死しせり。 10 パワェル下くだりて、其その上うへに伏ふくし、彼かれを抱いだきて曰いへり、慌あわつる勿なかれ、蓋けだし其その靈たましひは猶なほ其その中うちに存そんせり。 11 復また上のぼりて、餅ぱんを擘さきて食くらひ、語かたること久ひさしくして、夜よの明あくるに至いたり、遂つひに行ゆけり。 12 彼かれ等ら少せう年ねんを攜たづさへ、其その生いくるを見みて、甚はなはだ慰なぐさめたり。 13 我われ等ら舟ふねに乗のり、先さきだちてアッソンに往ゆけり、彼處かしこに於おいてパワェルを接うけん爲ためなり、蓋けだし彼かれ自みづから歩ほ行かうせんと欲ほっして、斯かく我われ等らに命めいじたり。 14 彼かれアッソンに於おいて我われ等らに會あひたれば、我われ等ら彼かれを接うけて、ミティリナに來きたれり。 15 彼處かしこより舟ふねを出いだして、次つぎの日ひヒヲスの對面むかひに至いたり、又また次つぎの日ひサモスに着きき、トロギリヤに泊とまりて、明日あくるひミリトに至いたれり。 16 蓋けだしパワェルは舟しう行かうして、エフェスを過すぎんと定さだめたり、アシヤに久ひさしく留とどまらざらん爲ためなり、彼かれ能よくすべくば、五ご旬じゅん節せつの日ひにイエルサリムに在あらんと欲ほっしたればなり。 17 彼かれはミリトよりエフェスに人ひとを遣つかはして、教けう會くわいの長ちゃう老らう等らを召めしたり。 18 彼かれ等らが來きたりし時とき、之これに謂いへり、爾なんぢ等らは我わがアシヤに來きたりし初はじめの日ひより、恒つねに爾なんぢ等らと偕ともにせし事ことの如何いかんを知しれり、 19 我われは謙遜へりくだりを竭つくし、多おほくの涙なみだを流ながして、イウデヤ人じんの惡あく謀ばうに由よりて我われに及およびし艱かん難なんの中うちに、主しゅに事つかへ、 20 凡およそ益えきある所ところは一いつも漏もさずして、爾なんぢ等らに宣のべ、衆しゅう人じんの前まへにも家いへ々いへにも教をしへて、 21 イウデヤ人じん及およびエルリン人じんに、神かみの前まへに悔くわい改かいして、我わが主しゅイイスス ハリストスを信しんずべきを勧すすめたり。 22 今いま視みよ、我われ神かみに縛しばられて、イエルサリムに往ゆく、彼かれに於おいて若何いかなる事ことに遇あはんを知しらず。 23 惟ただ聖せい神しん゜邑まち毎ごとに證しょうして、縲るゐ絏せつと患くわん難なんとは我われを俟まつと云いふ。 24 然しかれども我われ之これを意いと爲なさず、又また我わが生命いのちを貴たっとしとせず、但ただ願ねがはくは忻よろこびて、我わが往ゆく程みち及および主しゅイイススより受うけし職つとめ、卽すなはち神かみの恩おん寵ちょうの福ふく音いんを證しょうすることを盡つくさん。 25 今いま視みよ、我われ知しる、爾なんぢ等ら我わが素もと巡めぐりて神かみの國くにを傳つたへし所ところの者ものは、皆みな復また我わが面おもてを觀みざらん。 26 故ゆゑに我われ今こん日にち爾なんぢ等らに證しょうす、我われは衆しゅうの血ちに與あづかるなし、 27 蓋けだし我われは神かみの旨むねを漏もらさずして、悉ことごとく爾なんぢ等らに傳つたへたり。 28 故ゆゑに爾なんぢ等ら自みづから愼つつしみ、又また全ぜん群ぐんを愼つつしめ、乃すなはち聖せい神しん゜爾なんぢ等らを其その中うちに立たてて、監かん督とくと爲なし、主しゅ神かみが己おのれの血ちを以もって獲えたる教けう會くわいを牧ぼくせしむ。 29 蓋けだし我われ知しる、我わが去さりし後のち、殘ざん忍にんなる狼おほかみ、群ぐんを惜をしまざる者ものは、爾なんぢ等らの中うちに入いらん、 30 爾なんぢ等らの中うちより人人ひとびと起おこりて、門もん徒とを誘いざなひ、己おのれに從したがはしめん爲ために、理りに悖もとる事ことを語かたらん。 31 故ゆゑに儆けい醒せいして、我わが三さん年ねん間かん昼ちう夜や斷たえず、涙なみだを以もって爾なんぢ等ら各かく人じんを誨をしへしを憶おもへ。 32 兄けい弟ていよ、今いま我われ爾なんぢ等らを神かみ及および其その恩おん寵ちょうの言ことば、爾なんぢ等らを建たて、爾なんぢ等らに凡およその聖せいせられし者ものの中うちに嗣し業げふを與あたふるを能よくする者ものに託たくす。 33 人ひとの金きん銀ぎんの衣い服ふくは、我われ未いまだ之これを貪むさぼりらざりき。 34 爾なんぢ等ら自みづから知しる、此この我わが手ては我われ及および我われと偕ともに在ありし者ものの需もとめに供きょうせしを。 35 凡およその事ことに於おいて我われ爾なんぢ等らに斯かく勞らうして、柔弱よわき者ものを扶たすけ、且かつ主しゅイイススの言ことばを憶おもふ可べきを示しめせり、蓋けだし彼かれ自みづから云いへり、與あたふるは受うくるよりも更さらに福さいはひなりと。 36 言いひ竟をはりて、彼かれ膝ひざを屈かがめて、衆しゅうと偕ともに禱いのれり。 37 彼かれ等ら皆みな大おほいに哭なき、パワェルの頚くびに俯ふして、彼かれに接吻せっぷんし、 38 其その復また我わが面おもてを觀みざらんと言いひし言ことばに因よりて、殊ことに憂うれひたり。遂つひに彼かれを舟ふねに送おくれり。