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第24章 (ルカ聖福音書)

 第三項 イエズスの御復活。

1 安息日あんそくじつの翌日あくるひ、婦ふ人じん等ら支し度たくせし香かう料れうを携たづさへて朝あさ早はやく墓はかに至いたり、 2 墓はかより石いしの轉まろばばし退のけられたるを見みて、 3 内うちに入いりけるに、主しゅイエズスの御おん屍しかばね見み當あたらざしかば、 4 之これに當たう惑わくしたりしが、折をりしも輝かがやける衣い服ふくを着つけたる二人ふたりの男をとこ、彼かれ等らの傍かたはらに立たてり。 5 彼かれ等ら懼おそれて俯うつむきたるに、其その二人ふたり言いひけるは、何なんぞ生せい者しゃを死し者しゃの中うちに尋たづぬるや、 6 彼かれは此處ここに在いまさず、復ふく活くわつし給たまへり。思おもひ出いだせ、未いまだガリレアに居ゐ給たまひし時とき、如何いかに汝なんぢ等らに語かたりしかを。 7 即すなはち、人ひとの子こは必かならず罪つみ人びとの手てに付わたされ、十じふ字じ架かに釘つけられ、三日みっか目めに復ふく活くわつすべし、と曰のたまひしなり、と。
8 婦ふ人じん等たち此この御おん言ことばを思おもひ出いだし、 9 墓はかより歸かへりて、一切いっさいの事ことを十一使し徒と及および他たの人々ひとびとに告つげたり。 10 使し徒と等たちに告つげしは、マグダレナ、マリアとヨハンナとヤコボの母ははマリア及および伴ともなへる婦ふ人じん等たちなりしが、 11 其その言ことば荒たは誕ことの様やうに覺おぼえて、使し徒と等たちは之これを信しんぜざりき。 12 然されどペトロは起たちて墓はかに走はしり行ゆき、身みを屈かがめて唯ただ布ぬののみ置おかれたるを見みしかば、有ありし次し第だいを心こころに怪あやしみつつ去されり。
13 然さて同おなじ日ひに弟子でしの二人ふたり、エルザレムより約およそ三さん里りを隔へだてたる、エンマウスと名なづくる村むらに往ゆく途中みちすがら、 14 此この起おこりたる凡すべての事ことを語かたり合あひ居ゐたりしが、 15 斯かく語かたり合あひて僉せん議ぎしつつある程ほどに、イエズス御おん自みづからも近ちかづきて、彼かれ等らに伴ともなひ居ゐ給たまへり。 16 然されど彼かれ等らの目めは之これを認みとめざる様やう、覆おほはれてありき。 17 斯かくて彼かれ等らに向むかひ、汝なんぢ等らが歩あゆみながら語かたり合あひつつ悲かなしめるは何なんの談ものがたりぞ、と曰のたまひしかば、 18 名なをクレオファと云いへる一人ひとり答こたへて云いひけるは、汝なんぢは獨ひとりエルザレムに於おける旅りょ人じんにして、此この頃ごろ彼處かしこに起おこりし事ことを知しらざるか、と。 19 イエズス何なに事ごとぞ、と曰のたまひしに彼かれ等ら言いひけるは、ナザレトのイエズスの事ことなり、彼かれは預よ言げん者しゃにして、言げん行がうともに神かみと一般いっぱんの人じん民みんとに對たいして勢せい力りょくありしが、 20 我わが大だい司し祭さい、及および 首領かしら等たちは、之これに死し罪ざいを言いh渡わたして十じふ字じ架かに釘つけたる次し第だいなり。 21 我われ等らは、彼かれこそイスラエルを贖あがなひふべき者ものなれと、待まち設まうけ居ゐたりしが、此この等らの事ことありてより今け日ふは早はや三日みっか目めなり。 22 然さて我われ等らの中うちの或ある婦ふ人じん等らも亦また我われ等らを驚おどろかせたり、即すなはち彼かれ等ら未み明めいに墓はかに至いたりしに、 23 イエズスの御おん屍しかばね見み當あたらず、而しかも天てん使し等たちの現あらはれて、彼かれは活いき給たまへりと告つぐるを見みたり、と云いひつつ來きたれり、 24 斯かくて我われ等らの中うちより或ある人々ひとびと墓はかに往ゆきしに、婦ふ人じん等らの云いひし如ごとくなるを見みしも、彼かれをば見み付つけざりき、と。
25 イエズス彼かれ等らに曰のたまひけるは、嗚呼ああ愚おろかにして預よ言げん者しゃ等たちの語かたりし凡すべての事ことを信しんずるに心こころ鈍にぶき者ものよ、 26 キリストは、是これ等らの苦くるしみを受うけて而しかして己おのが光くわう榮えいに入いるべき者ものならざりしか、と。 27 斯かくてモイゼ及および諸もろもろの預よ言げん者しゃを初はじめ、凡すべての聖書せいしょに就つきて、己おのれに關くわんする所ところを彼かれ等らに説とき明あかし居ゐ給たまひしが、 28 彼かれ等ら其その之ゆく所ところの村むらに近ちかづきし時とき、イエズス行ゆき過すぎんとするものの如ごとくにし給たまへるを、 29 彼かれ等ら强しひて、日ひ旣すでに傾かたむきて暮くれんとすれば、我われ等らと共ともに留とどまり給たまへ、と云いひしかば共ともに入いり給たまへり。 30 斯かくて共ともに食しょく卓たくに就つき給たまへるに、麪ぱんを取とりて之これを祝しゅくし、擘さきて彼かれ等らに授さづけ給たまひければ、 31 彼かれ等らの目め開ひらけてイエズスを認みとりしが、忽たちまちにして其その目めより消きえ給たまへり。
32 彼かれ等ら語かたり合あひけるは、路次みちすがら語かたりつつ聖書せいしょを我われ等らに説とき明あかし給たまへる間あひだ、我われ等らの心こころは胸むねの中うちに熱ねつしたりしに非あらずや、と。 33 時ときを移うつさず、立たち上あがりてエルザレムに歸かへれば、十一使し徒と及および伴ともなへる人々ひとびと旣すでに集あつまりて、 34 主しゅ實げに復ふく活くわつしてシモンに現あらはれ給たまひたり、と云いひ居をれるに遇あひ、 35 己おのれ等らも亦また、途と中ちゅうにて起おこりし事こと、及および麪ぱんを擘さき給たまひし時ときに主しゅを認みとめし次し第だいを語かたれり。
36 此これ等らの事ことを語かたる程ほどに、イエズス其その眞まん中なかに立たちて、汝なんぢ等ら安やすかれ、我われなるぞ、畏おそるること勿なかれ、と曰のたまひければ、 37 彼かれ等ら驚おどろき怖おそれて、幽いう靈れいを見みたりと思おもへるを、 38 イエズス曰のたまひけるは、汝なんぢ等ら何なんぞ取とり亂みだして心こころに種々さまざまの思おもひを起おこすや。 39 我わが手て我わが足あしを見みよ、即すなはち我われ自じ身しんなり、撫なで試こころみよ、幽いう靈れいは、汝なんぢ等らが我われに於おいて見みる如ごとき骨こつ肉にくある者ものに非あらず、 40 と曰のたまひて手て足あしを彼かれ等らに示しめし給たまへり。 41 彼かれ等ら歡喜よろこびの餘あまに驚きゃう嘆たんしつつも、猶なほ信しんぜざりければ、イエズス、茲ここに食しょくすべき物ものありや、と曰のたまひ、 42 彼かれ等ら燒やき魚ざかなの一片ひときれと、一房ひとふさの蜂はち蜜みつとを呈ていしたるに、 43 彼かれ等らの前まへにて食しょくし給たまひ、殘のこりを取とりて彼かれ等らに與あたへ給たまへり。 44 然さて彼かれ等らに曰のたまひけるは、是これ我わが未いまだ汝なんぢ等らと共ともに在ありし時ときに、モイゼの律法りっぱうと預よ言げん者しゃ等たちの書しょと詩し篇へんとに、我われに關くわんして錄かきしるしたる事ことは、悉ことごとく成じゃう就じゅせざるべからず、と汝なんぢ等らに語かたりし事ことなり、と。 45 是ここに於おいて聖書せいしょを曉さとらしめん爲ために、彼かれ等らの精せい神しんを啓ひらきて曰のたまひけるは、 46 錄かきしるされたる所ところ斯かくの如ごとく、又またキリストは苦くるしみを受うけて、死し者しゃの中うちより三日みっか目めに復ふく活くわつすること、斯かくの如ごとくなるべかりき。 47 又また改心かいしんと罪つみの赦ゆるしとは、エルザレムを始はじめ、凡すべての國こく民みんに、其その名なに由よりて宣のべ傳つたへられざるべからず、 48 汝なんぢ等らは此この等らの事ことの證しょう人にんなり。 49 我われは父ちちの約やくし給たまへるものを汝なんぢ等らに遣つかはさんとす、汝なんぢ等ら天てんよりの能のう力りょくを着きせらるるまで市し中ちゅうに留とどまれ、と。
50 イエズス終つひに彼かれ等らをベタニアに伴ともなひ、手てを擧こぞげて之これを祝しゅくし給たまひしが、 51 祝しゅくしつつ彼かれ等らを離はなれて、天てんに上あげられ給たまひぬ。 52 彼かれ等ら之これを拜はいし奉たてまつり、大おほいなる喜よろこびを以もってエルザレムに歸かへりしが、 53 其それより常つねに[神しん]殿でんに在ありて、神かみを頌しょう讚さんし且かつ祝しゅくし奉たてまつりつつありき、アメン。