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第13章 (マルコ聖福音書)

 第三項 エルザレムの滅亡などの預言。

1 イエズス[神しん]殿でんを出いで給たまふに、弟子でしの一人ひとり、師しよ、視み給たまへ、此この石いしは如何いかに、此この構こう造ざうは如何いかに、と云いひしかば、 2 イエズス答こたへて曰のたまひけるは、此この一切いっさいの大だい建けん築ちくを見みるか、一ひとつの石いしも崩くづれずして石いしの上うへに遺のこされじ、と。
3 イエズス橄欖山かんらんざんに於おいて、[神しん]殿でんに向むかひて坐ざし給たまへるに、ペトロ ヤコボ ヨハネ アンデレア特ことに是これに問とひけるは、 4 此この事こと等どもは何時いつあるべきぞ。而しかして事ことの皆みな果はたされ始はじめん時ときに、如何いかなる兆しるしあるべきぞ、我われ等らに告つげ給たまへ、と。 5 イエズス答こたへて彼かれ等らに曰のたまひけるは、汝なんぢ等ら人ひとに惑まどはされじと注ちゅう意いせよ。 6 其そは多おほくの人ひと我わが名なを冒をかし來きたりて、我われはキリストなりと云いひて、多おほくの人ひとを惑まどはすべければなり。 7 汝なんぢ等ら戰爭いくさ及および戰爭いくさの噂うはさを聞ききて懼おそるる勿なかれ、此この事こと等どもは蓋けだし有あるべし、然されど終をはりは未いまだ至いたらざるなり。 8 即すなはち民たみは民たみに、國くには國くにに起たち逆さかひ、地ぢ震しん 飢き饉きん 處々しょしょにあらん、是これ等らは苦くるしみの始はじなり。 9 汝なんぢ等ら自みづから省かへりみよ、蓋けだし人々ひとびと汝なんぢ等らを衆しゅう議ぎ所しょに付わたし、汝なんぢ等らは諸しょ會くわい堂だうにて鞭むちうたれ、我わが爲ために證しょう據ことして、總そう督とくと王わう侯こうとの前まへに立たたんとす。 10 然さて福音ふくいんは先まづ萬ばん民みんに宣のべ傳つたへられるべし。 11 人々ひとびと汝なんぢ等らを引ひきて付わたさん時とき、何なにを云いはんかと預あらかじめ案あんずること勿なかれ、唯ただ其その時とき汝なんぢ等らに賜たまはらん事ことを云いへ、其そは言いふ者ものは汝なんぢ等らに非あらずして聖せい靈れいなればなり。 12 兄きゃう弟だいは兄きゃう弟だいを、父ちちは子こを死しに付わたし、子こ等どもは兩ふた親おやに立たち逆さかひ、且かつ之これを殺ころさん。 13 汝なんぢ等ら我わが名なの爲ために凡すべての人ひとに憎にくまれん。然されど終をはりまで耐たへ忍しのぶ人ひとは救すくはるべし。 14 汝なんぢ等ら「最いと憎にくむべき荒くわう廢はい」の、立たつべからざる處ところに嚴げん然ぜんたるを見みば、讀よむ人ひとは悟さとるべし。其そのの時ときユデアに居をる人々ひとびとは山やまに遁のがるべし、 15 屋やねの上うへに居をる人ひとは家いへの内うちに下くだり、家いへより何なに物ものをか取とり出いださんとて内うちに入いるべからず。 16 畑はたけに居をる人ひとは其その上うは衣ぎを取とらんとて歸かへるべからず。 17 其その日ひに當あたりて懷くわい胎たいせる人ひと、乳ちちを哺のまする人ひとは禍わざはひなる哉かな。 18 此この事ことの冬ふゆに起おらざらん事ことを祈いのれ。 19 其そは其その日ひに際さいして、神かみが[萬ばん物ぶつを]創さう造ざうし給たまひし開かい闢びゃくの始はじめより今いまに至いたるまで曾かつて有あらず、後のちにも復また有あらざらん程ほどの難なやみあるべければなり。 20 主しゅ若もし其その日ひを縮ちぢめ給たまはずは、救すくはるる人ひとなからん。然されど特ことに選えらみ給たまひし、選えらまれたる人々ひとびとの爲ために、其その日ひを縮ちぢめ給たまへり。 21 其その時とき汝なんぢ等らに向むかひて、看みよキリスト此處ここに在あり、看みよ彼處かしこに在あり、と云いふ者ものありとも之これを信しんずること勿なかれ。 22 其そは僞ぎキリスト、僞ぎ預よ言げん者しゃ等ら起おこりて、能あたふべくば、選えらまれたる人々ひとびとをさへ惑まどはさんとて、大おほいなる徴しるしと不ふ思し議ぎなる業わざとを爲なすべければなり。 23 然されば汝なんぢ等ら省かへりみよ。我われ預あらかじめ一切いっさいを汝なんぢ等らに告つげたるぞ。
24 其その時とき、斯かかる患くわん難なんの後のち、日ひ晦くらみ、月つき其その光ひかりを與あたへず、 25 空そらの星ほし隕おち、天てんに於おける能のう力りょく動揺どうやうせん、 26 其その時とき人々ひとびとは、人ひとの子こが大おほいなる權けん力りょくと榮えい光くわうとを以もって、雲くもに乘のり來きたるを見みん。 27 時ときに彼かれ其その使つかひ等たちを遣つかはし、地ちの極はてより天てんの極はてまで、四し方はうより其その選えらまれたる人ひとを蒐かり集あつめしめん。
28 汝なんぢ等ら無花果いちじくの樹きより喩たとへを學まなべ、其その枝えだ旣すでに柔やはらぎて葉はを生しゃうずれば、夏なつの近ちかきを知しる。 29 斯かくの如ごとく、此この事こと等どもの成なるを見みば、汝なんぢ等ら亦また其その近ちかくして門もんに至いたれるを知しれ。 30 我われ誠まことに汝なんぢ等らに告つぐ、此この事こと等どもの皆みな成なるまでは現げん代だいは過すぎざらん。 31 天てん地ちは過すぎん、然されど我わが言ことばは過すぎざるべし。
32 其その日ひ其その時ときをば、天てんに於おける天てん使し等たちも、子こも、何なん人ぴとも知しらず、唯ただ父ちちのみ[之これを知しり給たまふ]。 33 汝なんぢ等ら注ちゅう意いし、警けい戒かいし、且かつ祈き禱たうせよ、蓋けだし期ときの何時いつなるかを知しらざればなり。 34 其そは恰あたかも人ひと、其その家いへを去さりて遠ゑん方ぱうに旅たび立たつに當あたり、僕しもべ等らに命めいじて、各おのおの其その務つとめを頒わかち充あて、門もん番ばんには警けい戒かいする事ことを命めいじたるが如ごとし。 35 然されば汝なんぢ等ら警けい戒かいせよ、家いへの主あるじの來きたるは何時いつなるべきか、夕ゆふ暮ぐれなるか夜よ半なかなるか、將はた鷄とり鳴なく頃ころなるか朝あさなるか、之これを知しらざればなり。 36 恐おそくは、彼かれ遽にはかに來きたりて汝なんぢ等らの寢いねたるを見みん。 37 我われ汝なんぢ等らに云いふ所ところを凡すべての人ひとに云いふ、警けい戒かいせよ[、と曰のたまへり]。