26_02

第1章 (イオナ書)

1 主しゅの言ことばアマフィヤの子こイオナに臨のぞめり、云いはく、 2 起たちて、大おほいなる邑まちニネワィヤに往ゆきて、之これに宣のべ伝つたへよ、蓋けだし其その悪あくの声こゑは上のぼりて我わが前まへに至いたれり。 3 イオナ起たちて、主しゅの面おもてを避さけて、ファルシスに逃のがれんと欲ほっして、イオッピヤに至いたり、ファルシスに往ゆかんとする舟ふねに遇あひて、値あたひを給きふして之これに登のぼれり、主しゅの面おもてを避さけて、彼かれ等らと偕ともにファルシスに往ゆかん為ためなり。 4 然しかれども主しゅは大おほ風かぜを海うみの上うへに起おこして、烈はげしき颶風はやて海うみに在ありたれば、舟ふね幾ほとんど壊やぶれんとせり。 5 舟人ふなうど懼おそれて、各おのおの其その神かみに呼よび、又また舟ふねを軽かるくせん為ために其その載貨つみにを海うみに抛なげうてり、惟ただイオナは舟ふねの内層ないそうに下くだりて、臥ふして熟睡うまゐせり。 6 舟師かぢとり彼かれに就つきて曰いへり、爾なんぢ何なんぞ熟睡うまゐする、起おきて爾なんぢの神かみに呼よべ、神かみ或あるひは我われ等らを念おもひて、亡ほろびざらしめん。 7 人ひと衆びと互たがひに言いへり、我われ等ら籤くじを掣ひきて、此この災わざはひの誰たれに縁よりて我われ等らに臨のぞみしかを知しらん。乃すなはち籤くじを掣ひきしに、籤くじイオナに当あたれり。 8 其その時とき皆みな彼かれに謂いへり、我われ等らに告つげげよ、此この災わざはひの我われ等らに臨のぞみしは何なにの故ゆゑぞ、爾なんぢの業げふは何なんぞや、爾なんぢは何いづこより来きたれるか、爾なんぢの故土ふるさとは何なんの処ところぞ、爾なんぢは何いづれの民たみに属ぞくするか。 9 彼かれ曰いへり、我われはエウレイ人じんにして、主しゅ天てんの神かみ、海うみと陸くがとを造つくりし者ものを敬うやまふ。 10 是ここに於おいて人ひと衆びと大おほいに懼おそれて彼かれに謂いへり、爾なんぢ胡為なんすれぞ此これを行おこなひたる、蓋けだし此この人ひと衆びとは彼かれが主しゅの面おもてを避さけて逃のがるるを知しれり、彼かれ自みづから之これを告つげげたればなり。 11 乃すなはち彼かれに謂いへり、我われ等ら爾なんぢに何なにを為なして、海うみの我われ等らの為ために靖しづまるを致いたすべきか。蓋けだし海うみは愈いよいよ甚はなはだしく蕩ゆれたり。 12 イオナ彼かれ等らに謂いへり、我われを取とりて海うみに投なげよ、然しからば海うみは爾なんぢ等らの為ために靖しづまらん、蓋けだし我われ知しる、此この大おほいなる颶風はやての爾なんぢ等らに臨のぞみしは我わが故ゆゑに縁よりてなり。 13 此この人ひと衆びと務つとめて漕こぎて、陸くがに進すすまんと欲ほっしたれども、遂ついに能あたはざりき、海うみ彼かれ等らに向むかひて益ますます烈はげしく蕩ゆれたればなり。 14 其その時とき彼かれ等ら主しゅに呼よびて曰いへり、主しゅよ、爾なんぢに求もとむ、此この人ひとの生命いのちの為ために我われ等らの亡ほろぶるを致いたす毋なかれ、辜つみなき血ちを我われ等らに帰きす毋なかれ、蓋けだし爾なんぢ、主しゅよ、爾なんぢの旨むねに適かなへる事ことを行おこなへり。乃すなはちイオナを取とりて、海うみに投なげたれば、海うみの盪ゆるること息やみたり。 15 此この人ひと人びと大おほいに主しゅを畏おそれて、主しゅに祭まつりを献けんじ、誓願ちかひを立たてたり。 16 主しゅは大おほいなる鯨くじらに命めいじてイオナを呑のましめたり、イオナは此この鯨くじらの腹はらの中うちに居をりしこと三日さんじつ三さん夜やなりき。